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両親を失った4人の子供たちの心情を風刺

映画「ウィーアーリトルゾンビーズ」

両親を失った4人の子供たちの心情を風刺

火葬場で知り合った左からイクコ(中島セナ)、ヒカリ(二宮慶多)、タケムラ(奥村門土)、イシ(水野哲志)の4人 ©2019”WE ARE LITTLE ZOMBIES” FILM PARTNERS

 「親が死んで、悲しいはずなのに涙が出ない」

 衝撃的な台詞(せりふ)から始まる映画「ウィーアーリトルゾンビーズ」。偶然、火葬場で知り合った13歳の少年少女4人が自身の複雑な気持ちや両親への想い、世間や大人たちへの屈折した感情を抱きながら前へ進もうとする姿を描いている。

 バス転落事故、ガス爆発事故、自殺、殺人事件。それぞれの理由で両親を失ったヒカリ(二宮慶多)、イシ(水野哲志)、タケムラ(奥村門土)、イクコ(中島セナ)の4人。それぞれの事情を知り、いつしか、「ウィーアーリトルゾンビーズ」というバンドを組んでデビューする。だが、あまりにも過激なタイトルの楽曲を発表したことから、あっという間に引退へ。4人は、複雑な思いと感情を抱きながら旅に出る。そこから、それぞれの道を選択していく。

 今作が長編デビュー作となった長久充監督。監督自身の子供のころの感情を書き起こした作品でもある。

 ヒカリ役の二宮慶太、イシ役の水野哲志、タケムラ役の奥村門土、イクコ役の中島セナ、それぞれが紡ぐ言葉(台詞)、心の叫びは、現代の少年少女が胸の内に抱く冷たさと滑稽さを表現し、映像と音楽が現代社会を風刺するラップミュージックのように交差する。そこに佐々木蔵之介、菊地凛子、工藤夕貴、村上淳、佐野史郎、池松壮亮らが脇を固め包み込んでいく。

 映画なのだが音楽的な要素も含んだ、まさにスクラッチ(レコードのターン・テーブルを手で廻し、レコードと針のこすれる音をリズミカルに曲に合わせる)やジャズのセッションのような感覚になる作品だ。

 第35回サンダンス映画祭審査員特別賞受賞作品。6月14日より全国ロードショー。(佐野富成)

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