はやぶさ2運用チーム、工夫凝らし「りゅうぐう」攻略
「ベストの状態」、着陸精度を大幅向上、弾丸発射し試料採取
小惑星「りゅうぐう」は予想に反し、着陸の障害となる岩だらけだった。運用チームを率いる津田雄一プロジェクトマネジャーは、探査機「はやぶさ2」の着陸延期を決めた昨年10月、「いよいよ、りゅうぐうが牙をむいてきた」と苦渋の表情を見せたが、さまざまな工夫で着陸の精度を大幅に向上。直径6メートルしかない「平地」にピンポイント着陸を成功させた。
地球から約3億4000万キロ離れているりゅうぐう。通信は往復で約40分かかるためリアルタイムの制御はできない。はやぶさ2自身が位置や高度、地形を判断し、目標地点に着陸する方式だ。
当初は、初代はやぶさが着陸した小惑星「イトカワ」と同様に、りゅうぐうにも平たんな部分があると想定していた。着陸する際の誤差は半径50メートルほどだったが、予想外のりゅうぐうの姿に「甲子園球場のどこかに降りればよかったのが、マウンドに降りないといけなくなった」(津田さん)と例えるほどの精度が必要となった。
運用チームは、昨年10月のリハーサルで投下した目印(ターゲットマーカー)を使い、目標地点付近まで誘導する方法を選択。周囲の100個近い岩の大きさや高さを推定した詳細な3次元データを作成し、着陸の姿勢や方法を検討した。
はやぶさ2が備える12個の化学エンジンについて、出力のばらつきを考慮。実際に噴射試験を行い、どのタイミングでどのエンジンを噴射すればいいかなど制御プログラムも細かく設定し直した。
その結果、着陸誤差を半径2・7メートルまで抑えることに成功。津田さんは「一つ一つの数字を詰めるのに神経を使ったが、おかげで自信を持てる着陸手順ができた」と胸を張った。
【関連記事】はやぶさ2のリュウグウ試料採取成功と科学的発見の醍醐味
【関連情報】英国のロックバンド「クイーン」のギタリスト…
コメント