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酒井高徳選手、恩師が磨いた「苦境の一歩」

強靱な心ではい上がる、3日未明にベルギー戦

酒井高徳選手、恩師が磨いた「苦境の一歩」

アルビレックス新潟時代、恩師の片渕浩一郎さんが現役最後に付けた背番号24を受け継ぎプレーする酒井高徳選手(父一幸さん提供)

酒井高徳選手、恩師が磨いた「苦境の一歩」

ベルギー戦に向け、調整する日本代表=30日、カザン(時事)

 サッカーワールドカップ(W杯)2大会目にして、1次リーグ最後のポーランド戦で初出場した日本代表の酒井高徳選手(27)。恩師の目を引いたのは技術などではなく、強靱(きょうじん)な心に支えられた「苦しい時の一歩」だった。

 アルビレックス新潟ヘッドコーチの片渕浩一郎さん(43)は、自身を「フチさん」と呼び慕う高徳選手の第一印象を「金髪」と笑う。中3の夏に受けたユース試験で初めて目にし、「技術、持久力、スピードが他の選手より秀でているかと言うと、そうではなかった」と明かす。

 当初はフォワード。しかし走る姿からゴールに向かう推進力こそ最大の強みと見抜き、「前を向いてプレーできるように」とポジションを徐々に下げ、半ば強制的に左サイドバックへ。タッチライン際105メートルを繰り返し走らせ、推進力を磨いた。

 片渕さんは「高徳は心拍数が200に達しても走っているぐらい。自分よりうまい選手がいる中、日々の練習がライバルだった」と振り返る。

 父一幸さん(63)は「高徳はいつも『俺は下手だ』と言っています。代表でも一番下手だと思っているんじゃないでしょうか」と話す。中学時代はレベルの高い環境を求め部活や社会人チームなどいくつも掛け持ちしたが、選抜された育成年代の練習に向かう車中で「行きたくない」と漏らしたことがある。「みんな上手だから、俺なんかとてもじゃない」と。

 10代から年代別代表に選ばれたのも、一幸さんは「順調に来たわけじゃない。うまい選手に後れを取るまいと努力して、少しずつ上達している。いまだにそうです」と語る。代表で長友佑都選手(31)や酒井宏樹選手(28)らの存在が向上心をかき立てた。片渕さんも「努力と強靱な心ではい上がった選手」と評する。

 今は母アンジェリカさん(64)の祖国ドイツでプレー。主将を務めたハンブルガーSVが初の2部降格の瀬戸際にあった時、「苦しい」と漏らす高徳選手に、片渕さんは「だからお前が主将なんだよ」と言葉を返した。「フチさんに言われると頑張れる気がする」。降格は免れられなかったが、片渕さんにとって、現役最後に付けた自身の背番号24を受け継ぎ奮闘した姿は誇りだという。

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