日本女子が初の銅、英国の最終投ずれ競り勝つ
カーリング3位決定戦で5-3、苦しみの先に歓喜
一瞬、日本女子のメンバーは何が起きたのか分からなかった。直後に涙が頬を伝う。湧き起こった拍手に包まれ、氷の上できつく抱き合った。日本勢で初めてつかんだ五輪のメダル。ついに栄光をつかんだ。
表彰台を懸けた最後の戦い。両チームからメダルへの熱い思いがにじみ、リスクを避けてロースコアの展開になった。一投の重みがどんどん増す。重圧がのし掛かり、試合が動いた。
3-3の第9エンド。「ここが勝負どころ」とみた藤沢は、最終投でガードストーンの裏にドローショットを決めた。英国はガードストーンを押して、日本の石を出す作戦。だが、角度がわずかにずれた。円内に日本の石だけが残り、1点をスチール(不利な先攻での得点)。試合開始から約2時間20分。初めて日本がリードを奪った。
先攻で迎えた4-3の第10エンド。藤沢は最終投が狙いの位置に届かず、英国の石が一番近くに残った。藤沢は「もう負けたと思った」と諦めかけたが、相手の最終投で押された日本の石は他の石で跳ね返り、円心へと向かう。5-3。苦しみの先に歓喜が待っていた。
日本勢で初めて進んだ準決勝は延長戦の末、韓国に7-8で惜敗。本橋は悔し涙を流すメンバーに声を掛けた。「まだ大会は終わっていない。最後までポジティブに」。主将の言葉を受け、メンバーは切り替えた。
2016年世界選手権で銀メダルを獲得。昨年はそれが重圧に変わり、日本選手権決勝で中部電力に敗れた。復権に向けて、リンド・コーチが授けた合言葉は「ムーブ・トゥギャザー」。一投の責任を一人で背負わず、スイープや声掛けなど全員で成功に導く意識を高めた。この日も最後まで全員の心は一つだった。
日の丸を背に、笑顔でポーズを取る。誇らしかった。「着実に日本がレベルアップしていることを見せられた」と藤沢。日本のカーリング界の歴史に偉大な一ページを刻んだ。(時事)
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