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宮原知子、湧き上がる思い、苦しみの果ての名演

誇らしく優雅なガッツポーズ、メダル届かず4位

宮原知子、湧き上がる思い、苦しみの果ての名演

フィギュアスケート女子フリーの演技を終え喜ぶ宮原知子=23日、韓国・江陵(時事)

 小さな体の奥底から湧き上がってきたような、誇らしく優雅なガッツポーズだった。天を見上げた顔はもうくしゃくしゃになっている。「やり切った。ここまできたらメダルが欲しい」。その思いは届かなかった。でも、苦しみの果てに宮原が五輪のリンクで奏でた名演は記憶に刻まれる。

 直前の6分間練習でリンクに足を踏み入れた時から、気がほとばしるような顔をしていた。SP4位からの浮上へ気概があふれていた。強い女性をテーマに演じた「蝶々夫人」は七つのジャンプを含め完璧。メダルに小さな望みを抱いたがザギトワ、オズモンド、メドベージェワに抜かれた。負けて悔しくないはずがない。でも「やっぱり違うな」。出し切ったからこそ、そう思えた。

 悩まされ続けたジャンプの回転不足は一つもなかった。それどころか、課題だったルッツ-トーループの連続3回転は加点が1点も付いた。左股関節の疲労骨折から復活を懸けたリハビリで尻の筋肉を鍛え、平昌入りしてからもトーループを踏み切る前のためをつくるよう取り組んだ。最後まで決して諦めず、妥協しなかった報いだった。

 けがでジャンプを跳べない間はひたすら滑り込み、音を聞いてイメージを深めた。ジャンプ練習を再開しても本数を制限せざるを得ず、それならと「一発の集中力」を意識してきた。SPもフリーもステップの加点は満点に迫り、最後までミスがなかった。滑り終えた後の「やれることはすべてやった」という一言には一点の曇りもない。

 浜田美栄コーチに「この会場を知子の色に染めなさい」という言葉で送り出された。鮮やかではなくとも、紡ぎ出した色には深みがあった。真面目な宮原は「まだ、もう一つ足りない」と言っている。常に上を目指すのがアスリート。きょうぐらいはせめて、自分をねぎらってもいい。(時事)

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