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坂を下るための機関車「EF63」

碓氷峠鉄道文化むら

 横川―軽井沢間。66.7パーミル(1000メール進んで66.7メートル登る)の急勾配。EF63電気機関車は、この坂を登るためというより、「安全に下る」ために製造された特殊な機関車だ。

 坂を下るとき、恐ろしいのは逸走である。均衡速度の時速48キロを超えると、摩擦係数が減少し、加速力がブレーキ力を上回り、それが起きる。EF63をもってしても、止まることができなくなるのだ。

 そのためにEF63は、電磁吸着ブレーキ(電磁石をレールに押し付ける)ほか4種類のブレーキ、速度超過自動制御装置を装備し、制限速度の40キロを絶対に超えないよう慎重に下っていく。常に横川側に連結され、坂を登る時は、列車を「押し上げる」。機関士は後ろ向きだが、万一の場合に備えるためでもある。

 しかし一度だけ逸走事故が起きている。昭和50年10月、回送のEF63(重連)が加速しすぎ、速度は100キロを超え脱線している。

 所要時間は下り(横川から軽井沢へ坂を登る)は17分、上り(軽井沢から横川へ坂を下る)は22分。坂を下る方が時間がかかるのである。機関士は坂を登るより下る時の方がはるかに難しく神経を使うのだ。

 当時の国鉄技術陣の粋を結集して製造(昭和37年1号機)されたEF63だが、北陸新幹線長野開業と同時に役割を終えた。そのEF63はじめ様々な車輛に会えるのが、ここ「碓氷峠鉄道文化むら」である。アプト式時代からの資料も歴史的価値が高い。

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