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SLには旧型客車が似合う【動画あり】

旧型客車の復活保存を

 車内放送で「この客車はレトロ客車と言われています」と説明があったが、レトロ客車なんて呼んで欲しくない。旧型客車―、略して「旧客」なのである。そう、かつて栄光の国鉄時代には全国至る所で使われていた。しかし今や絶滅寸前である。

 今回の取材は、高崎―横川間を走る「レトロ碓氷号」。蒸気機関車(SL)というより、この旧客が目的なのである。折しも夏は真っ盛りだがクーラーはナシ。しかし窓を全開にできるいい口実になる。じつは家族と3人で来たが、それには理由がある。指定席をワンボックス4人分確保しているのだ! 一人で4席を占領するとあっては常に満席の当列車においてはヒンシュクを買う。かくして、はしゃぐ子供や喋り好きの鉄道マニアに神聖な取材を邪魔されずに済む。

 列車の入線はいつも心が弾む。まして30年ぶりに乗る旧客。ピカピカに磨かれた車体も気にならない。イベント車両に成り下がったとはいえ、紛れもなく旧客なのである。

 「匂い」も長年記憶できるものだと気が付いた。匂いが懐かしいのである。しかし考えてみれば当然かもしれない。学生時代、30時間以上ぶっ通しで旧客に乗り続け、車体の匂いが染みつき汗にまみれても平然としていた自分である。寝台列車も当然旧客仕立てを選ぶ。北海道を目指す場合は、当時東北新幹線も大宮止まりだったので、始発駅の上野から福島行きの旧客鈍行に乗るのである。

 乗り込んだ車輛はスハ42。旧客の中では設備が良すぎる。筆者のお気に入りは、背もたれが垂直板張りのオハ61系なのである。これの乗り心地が最悪なのが最高にいい。しかし、贅沢は言えない。スハ42系が残っているだけでも奇跡なのだから。

 レトロ碓氷号、高崎を定刻に発車。D51のドラフト音、蒸気の排出音が心地良い。客車ならではのジョイント音。ビデオ撮影をしていなかったら、この感動を前席の助手(妻)に喋りまくっていたであろう。ここは黙して仕事に専念する。

 それにしても、遅い。横川まで約1時間かけて進む。時速30キロ程度だろうか。しかし、少しでも長く乗っていられるのだから文句は言わない。それより良い子たちに「蒸気機関車は遅いもの」と勘違いされては困る。このD51は最高速度は85キロも出るのである。加速は確かに良くないが、決して遅い乗り物ではないのだ。C62なら100キロは出せる。

 途中、安中で8分停車。旧客は密着連結器ではない。止まる時の音と振動が盛大だ。乗客の話声がなければ、その後に静寂がやってくる。

 SLの復活運転は多いに結構。ファンが増えるのも大歓迎である。しかしSLに繋がれている冷暖房完備の小ぎれいな客車には強い違和感を覚える。そんな歴史はないのである。旧型客車を積極的に復活保存すべきである。

動画⇒ 「SLレトロ碓氷号 旧型客車に乗る」

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