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秘境聖地「カイラス」巡礼

 ヒンドゥー、ジャイナのスワミ師のお誘いで3年ほど前にシヴァの住むと言われる聖なる山カイラス(カイラーサ)を1周する「プラダクシャナ」(注)の旅に参加することが出来た。巡礼の旅は、禁酒、禁肉食の旅でもある。
 カイラスは中国チベット高原西部にそびえ立つ独立峰(6,656m)で、仏教(特にチベット仏教)、ボン教、ヒンドゥー教、ジャイナ教で聖地とされ、信仰の山であることから入山が禁止された未踏峰である。またヤルツァンポ川(ブラマプトラ川)、ガンジス川、サトレジ川、インダス川の“四大河の源”と言われる。
 私の体験した聖地巡礼の旅について紹介する。

 日本からバンコク経由でカトマンズに入り、ルンビニに移動し、お釈迦様の聖地を訪れるところからスタートした。ルンビニのホテルで1泊した翌日、ホテルから近い日本山妙法寺が建立した世界平和塔を参拝し、カピラヴァストゥ跡を拝謁、ラーフラが出家したという寺院跡に立ち寄った後、お釈迦様の生誕の地を拝礼した。
 マーヤ聖堂、アショーカ王の円柱、菩提樹と池、神聖な空気に包まれた地は、まさに聖地というべきところだ。
 その後、永遠の平和の火、タイの寺院を参拝して、再びカトマンズに移動して、翌日からカイラスに向けての旅となった。

カトマンズからカイラス山の地図画像

カトマンズからカイラス山の地図画像

 カトマンズからコダリへ、国境を越えて、ザンムー(2350m)に入り一泊、ネーラム(3750m)へ移動し、高所順応のために3泊。ネーラムから、トンラ峠(5050m)を越えてチベット高原へ、ペクー・ツォ湖、ヤルツァンボ河を経て、サガ(4473m)に移動し1泊、そこから、パルヤン(4575m)に移動して1泊、マユムラ峠(5182m)を越え、マナサロワール南湖畔、トゥゴ・ゴンバを経て、プラン(3800m)へ。クジャ・ゴンパを参拝し、聖なる湖マルサロワール湖畔にて、カイラーサを仰ぎみながら祈りを捧げた。
 マルサロワール湖畔の寺院を参拝し、カイラーサ一周の起点の街であるタルチェン(4675m)へ移動。テント泊、ロッジ泊の旅だった。
 旅はチベット仏教における高僧ミラレパの足跡を追う寺院参拝でもあった。ミラレバは、マルパに師事して修行し、カイラーサで裸で12年瞑想し悟りを開いた方であり、カイラーサに登った唯一の方である。
 壁画の語る意味や、寺院のいわれなどを学びながらの参拝は素晴らしい体験でした。

 タルチェンでの1泊後に、カイラーサ・プラダクシャナのスタートだった。
 タルチェンから、タルチェンに戻るフルコルラ3泊4日のテント泊、徒歩巡礼だ。初日は、タルチェンから、チュク・ゴンパの下まで。2日目は、河口慧海が感嘆した黄金渓を経てディラプール僧院の側まで。3日目は、最大の難所であるドルマラ(5668m)を越えて、ジュン・チュ河沿い(5232m)まで。4日目の最終日は、タルチェンまで。無事に、自分の足で歩いて、カイラーサ・プラダクシャナを完遂出来た。

 途中、熱心な信者が「五体投地」で巡礼しているのにも出会った。ドルマラの手前では朝日を浴びる美しいカイラーサを拝むことができた。アディナータの降臨した場所であり、アジアの多くの宗教の聖地カイラーサを拝むプラダクシャナの歩みは、やはり特別なものがあった。

 タルチェンで1泊し、翌日は、聖地ティルタプリ(4320m)へ、寺院を参拝し1泊。フルコルラを成したあとは、ティルタプリから、パルヤン、パルヤンからサガ、サガからザンムーへ移動して、国境を越えてカトマンズへ、ほぼ毎日約250kmを車で移動する戻りの旅。旅の終わりはカトマンズでの敬虔なる歩みだった。パタンを訪ねて、額に印(ビンディ)をつけてもらった。
 カトマンズからバンコク経由で日本に帰国。長い期間の巡礼の旅だったが、素晴らしい経験だった。

(注)「プラダクシャナ」とは、ヒンドゥーの祭事において神聖な対象に対して、常に右肩を向け(時計周り)ながら、その周りを歩いて回る礼拝行為のこと。カイラーサ山はシヴァの住む神聖な山。その周りを時計回りに歩いて周ることから「カイラーサ・プラダクシャナ」と呼ばれる。

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