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民進党の女性総統誕生へ総力戦 台湾総統選2016

若者支持のミニ政党追い上げ 台湾立法委員選

 1月16日投開票の台湾総統選(任期4年、再選は2期まで可)と立法委員(国会議員)選(定数113)が告示され、12月19日から正式な選挙戦がスタートした。最大野党・民進党の蔡英文主席(59)、与党・国民党の朱立倫主席(54)、親民党の宋楚瑜主席(73)の3氏が終盤戦を展開している。

 選挙序盤から蔡氏が圧倒的リードを保ち、焦点は立法委員(国会議員)選挙での与野党議席数に移り、民進党は政権奪還だけでなく、立法院(国会)での過半数確保による安定政権を視野に入れ始めた。

 台北市に隣接する新北市汐止駅前。12月13日、最大野党・民進党の蔡英文主席は昨年のヒマワリ学生運動リーダーで新北市から立法委員選挙に立候補した新党「時代力量(時代の力)」の黄国昌主席(42)の選挙本部設立総会に駆けつけ、「国会(立法院)の過半数を獲得しよう。時代力量は台湾を改革する同志であり、共に立ち上がろう」と有権者に呼びかけた。

 黄主席は昨年3月、与党・国民党が進める対中融和政策としてサービス貿易協定を立法院(国会)で批准させようとの動きに「このままでは台湾がブラックホールの中国大陸にモノや人の交流で呑み込まれる。議場を国民に返せ」と立法院内で座り込みデモを行って同協定審議中止に追い込んだ立役者の一人。同デモで馬英九政権は支持率が10%以下に急落し、逆にデモ参加の学生たちに同情が集まった。

 今回の選挙でも最終盤で目立つのは、若年層の政治的関心度が高まることで「第三勢力」となったヒマワリ学生運動のリーダーたちが束ねるミニ政党・時代力量が親民党より支持率が上昇している点だ。

 台湾では2010年の五大直轄市長選までは北部の台北市、新北市で国民党が勝利し、「北藍南緑(台湾北部は藍色の国民党、南部は緑色の民進党支持)」との従来の表現が通じた。しかし、昨年11月の統一地方選では台北市が無所属で民進党系の柯文哲市長となり、他の県・市長(知事に相当)ポストも民進党が躍進したことで来年1月16日投開票の総統選、立法委員選での得票見通しは一変している。

 22ある県・市の首長は国民党が従来の15ポストを6に激減させた一方、最大野党・民進党は6から13に増やしたことで国民党の集票基盤だった地方都市の漁会(漁協)や農会(農協)などの地元組織で民進党支援の動きが加速しているのだ。

 馬英九政権8年間の景気低迷への不満が民進党への追い風となって吹いている。馬英九総統は政権樹立後、実質経済成長率年平均6%以上、失業率3%以下、2016年の平均所得を3万米ドル(約360万円)にする「633」政策を打ち上げ、対中融和政策で経済浮揚を皮算用したが、中国との貿易増、中国大陸観光客の急増はあっても失業率は11月で3.91%、今年の国内総生産(GDP)は1.5%前後になる見通しでリーマン・ショック後の09年以来の低さ。対中関係改善の恩恵は一部の企業や団体のみに集中し、中国大陸のモノや人の存在感ばかりが増え、不満が広がる。

 国民党が勢いに乗れないのは、総統候補の人選不手際と王如玄副総統候補(54)の軍人住宅転売利益をめぐるスキャンダルで、とくに台湾南部の軍人出身者の反発が根強いからだ。中国との統一志向が色濃くて敬遠された洪秀柱立法院副院長の公認を取り消し、代わって公認候補になった朱立倫党主席は、総統候補の人選手続きに理不尽さがあるとの党内からの反発も逆風だ。

 親民党は副総統候補に新政党・民国党主席の徐欣瑩立法委員(43)を選出し、総統選を争う各政党の総統・副総統のペアはラストスパートをかける。

台北・深川耕治

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