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仮想の東京を存分に観光する バーチャルマーケット4 パラリアルトーキョー


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 2020年4月、世界は未だ新型コロナウイルスの影響により外出の禁止や自粛が行われており人々が家に籠もる時勢。
東京オリンピックも延期となり、暗いムードが漂う中で一つの興味深いイベントが開催されている。
2020年4月29日から5月10日まで、仮想空間上でコミュニケーションが行えるサービス「VRChat」上において、大規模な展示会イベントである「バーチャルマーケット4」が株式会社HIKKYの主催で開催されている。
今回は複数ある会場の中から、複数の有名企業が軒を並べる仮想の東京都「パラリアルトーキョー」をご案内しよう。

これからのキーワード、パラリアル
 まずパラリアルトーキョーを案内する前に「パラリアル」という言葉について少し触れておく。
パラリアルとは造語であり、現実と並行して存在する世界「パラレルワールド」と現実世界「リアル」を行き来する人々のスタイルを指す。
現実と仮想空間の双方を活動の拠点とし、そして双方に価値ある物を求めていくライフスタイルの在り方と言えるだろう。

仮想現実都市 パラリアルトーキョー
 それではパラリアルトーキョーの全容を一つ一つ紐解いていく。皆様の手元にそれなりのスペックのパソコンがあるのならば、ぜひVRChatをインストールしパラリアルトーキョーを歩きながらこの文章を見ていただきたい。
最初に降り立つのは空港だ。国外から来た人々は皆最初に空港に入る、そういった意味合いで考えれば私達はこの世界の外から来た旅行者と言えるだろう。
右を見ると丸が4つ連なったエンブレムを抱く真っ白い車が見える。これは日本未発表の欧州仕様のAudi e-tron Sportback。アウディ ジャパン株式会社が提供するブースへの案内役だ。
タップした先はかつてAudiがミュンヘン空港内に設置した期間限定e-tron 体験施設「メテオライト」をほぼそのまま移植しており、実際に体験試乗する事も可能となっている。
また時間に応じてAudiのスタッフが常駐しており、新型車のスペックであったり新機能を解説してもらう事も出来る。ここでしか聞けない裏話を聞いてみるのも良いだろう。
空港へ戻ればVRChat運営が設置したワゴン車を見る事が出来る。今回は各会場の最初にVRChatのロゴが配置されており、メイン会場となるここは一層豪華な仕様となっている。
空港ロビーにはもう一つ企業ブースが存在する。SoftBank株式会社が出展する5G LABブースだ。ここは公式モデルとダンスを踊る事が出来る仕掛けや、会場内に隠された昆虫を探せる機能を持つスマホが設置されている。
このロビーの先に掛かる巨大な橋を通れば、東京駅、スカイツリー、東京タワー、東京ドームに東京都庁、ウルトラマンが鎮座するパラリアルトーキョーが一望出来るのだ。

 最初は「Shibuya Crossing」、渋谷の交差点を模した場所がお目見えする。なお背後には何かと話題の東京ビッグサイトの縮小版が見て取れる。
宣伝用の大型モニターでは新作映画の「MarvelComics ブラック・ウィドウ」のCMが流れ、前回のバーチャルマーケット3でも登場したハチ公のモデルが佇んでいる。
目を引くのはまず右手側に見えるセブンイレブン本社ビルの店舗を忠実に再現した「株式会社セブン&アイ・ホールディングス」ブースだ。
ここは半地下と2階を備えた広さのある店舗となっており、店内のATMやコピー機はもちろんイートインスペースも忠実に再現されている。
店舗の中では株式会社ディアステージ所属のアーティスト、GEMS COMPANYの4名が店員を務めている。
そしてここのブースの中で最も特徴的なのは、併設された株式会社スクウェア・エニックスのブースだ。なんとゲーム作品である「ニーア・オートマタ」で使用されているキャラクターの身体や武器といったモデルのデータを販売可能な形式で展示しているのだ。
不正なルートで流出する事が多いゲームのキャラクターデータを、公式販売という形で出品した事は滅多に無いケースである。
そこから少し歩けば、ファッションブランド「WEGO」の出展ブースに当たる。ここでは実際にVRChatでも使用可能なWEGOブランドの衣装などを販売しており、いずれも公式監修のもとに作成されている。
キャラクターモデルが着用している姿も見ることが出来るので、実際に着るとどういうイメージとなるかを掴めるのはとても大きい要素となっている。

 次は高架下をくぐり、エスカレーターを登ると現れる「Roppongi Hills」エリアだ。文字通り六本木ヒルズが鎮座しているこの場所で最初に目に飛び込んでくるのは創通・サンライズが手掛ける「RX-78-2 ガンダム」の実物大モデルだろう。
その横にある大きな黒いブースはパソコンを模したヒューレット・パッカード社のブースだ。中には様々な作品のイラストなどが展示されており、Youtubeで公開されているアニメ作品「OBSOLETE」に登場するメカの3D実物大モデルも設置されている。
少し先へ進めばFM91.6、AM1134の周波数でおなじみの株式会社文化放送の収録スタジオが建っている。ここでは看板番組の一つ「村上信五くんと経済クン」の放送内容を視聴出来るほか、公式キャラクターの「キューイチロー」のぬいぐるみを見ることが出来る。
また脇にある映画のポスターを辿っていくと、TOHOシネマズ株式会社が提供する「TOHOシネマズ六本木ヒルズ」へと入る事が出来る。
ここではモニターでも表示されていた「ブラック・ウィドウ」の予告編映像などを見ることが出来、映画館内では声優の緑川光氏のナレーションによる作品のガイドも楽しめる仕組みとなっている。

 六本木ヒルズの先にあるのは巨大な朱塗りの「Tokyo Tower」。東京タワーとその先に鎮座するのはこれも実物大サイズのウルトラマンである。
ここはデジタルモーション株式会社の映像プレゼンブースや株式会社リコーが開発した新商品の「THETA」という360度撮影可能なカメラのモデルや画像を見られるブースが存在する。
その先にあるのはベネリック株式会社が手掛ける円谷プロ作品「ウルトラマン」のショップである「ウルトラマンワールドM78」である。
ウルトラマン立像と記念撮影が出来るほか、公式ショップで取り扱っているデータやグッズも眺める事が出来る。
その隣にはオートデスク株式会社によるCG製作向け雑誌「CGWORLD」が積まれたエリアがあり、ここから3Dモデル製作ソフト「MAYA」の操作ガイドのページに飛ぶことも出来る。

 隣接したところにある3Dアバター使用者向け配信サービス「バーチャルキャスト」の紹介ブースの隣に鎮座するのは「Kabukiza」である。精巧に作られた歌舞伎座の入り口の横にあるのは「Netflix」の特設ブースへの入り口だ。
高飛び込みの要領で地下へ降りれば、地上とは打って変わって緑のラインに黒の背景で彩られたサイバーパンクの世界を思わせるエリアに出る。ここはアニメーション作品「攻殻機動隊 SAC_2045」の特設ブースとなっており、なんと第一話が無料で視聴出来る。
また作品に登場する多脚戦車「タチコマ」の公式監修3Dモデルの販売も行っており、作品ファンとしては垂涎の一品である。

 階段を上り高台のような場所に出れば、ちょうどパラリアルトーキョーの中間地点「Tokyo Station」に出る。
東京駅の丸の内中央口にあるレンガ造りの駅舎を通り抜けた先には江戸城が建っており、一階中央から江戸城天守閣へとワープする事が出来る。
ワープが済んだら後半のエリアの散策のスタートだ。

 ワープ先正面にあるのはバーチャルマーケット2でも出てきた「モクリプロジェクト」のブースだ。その横に存在するのは野球ファンでなくともお馴染みの「Tokyo Dome」である。
もちろん東京ドームは実物大ではないが中に入る事が可能で、ちょっとした観戦気分を味わう事もできる。
またその先には株式会社三越伊勢丹ホールディングスの手掛ける「伊勢丹新宿本店」があり、入り口から店内に入る事も可能だ。
店内ではメンズブランドの「MINOTAUR」が実際の商品やその3Dデータを販売し、また「伊勢丹の紙袋」の3Dデータが無料で配布されている。

 道なりに「Tokyo M.G. 東京都庁」をくぐれば、ラジオ会館が存在する「Akihabara」エリアに出る。
ここでは同人ショップ大手の株式会社虎の穴による「とらのあなVRChat店」が出展。なんと展示されている同人誌の一部を試読する事が可能だ。
その隣にはKOTOBUKIYAの名称でおなじみ株式会社寿屋の手による「創彩少女庭園」という少女のプラモデルをカスタマイズ出来る新商品の宣伝ブースも設置されている。
そこでは中央の装置に少女のミニチュアを設置することで、展示されたモデルの髪型やアクセサリーが変わるという仕掛けが施されている。

 坂を登れば右手側に見えてくるのは「TOKYO SKYTREE」。その前には様々な企業のブースが等間隔に配置されている。
このパラリアルトーキョーでは唯一の学校法人からの出展である学校法人専門学校 東洋美術学校の手掛ける可愛らしいミニチュアブースや、障害者向けの福祉サービスを展開する株式会社ワンライフなど独自色を持ったブースが見かけられた。
その先にある坂をまた登れば高台へと到着。誰もが知るPanasonicのロゴの隣はパナソニック株式会社とコネクティッドソリューション社の手掛ける「在席検知ヒートマップ」というシステムの展示場となっている。
これはパラリアルトーキョー内で人の集中しているエリアを可視化する事が出来るシステムで、どこが人気であるかひと目で確認できる今までにないシステムである。

 観光も終盤、最後の「Stadium」からは光の柱が立ち上っている。門前で出迎えてくれるのは株式会社セガのキャラクターである「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」だ。
こういった先進的な試みにいつも取り組んできたSEGAらしい立ち位置だけあって、参加者からは「全く違和感がない」との声が聞かれた。
この東京オリンピックのための競技場の中にはバーチャルマーケット4出資者やスタッフの一覧が彫り込まれており、どれだけ貢献したかという事がある程度見て分かるレベルで区別して展示してあるのだ。
スタジアムから立ち上る聖火の奥には六角形のタイルで構成された富士山が見え、そしてスタジアム中央にはユーザー向け展示会場へ移動できるポータル(扉のようなもの)が設置されている。
ここがユーザー向け展示会場への入り口であり、今まで走ってきたこのパラリアルトーキョー全体がバーチャルマーケット4の巨大なエントランスホールとも言えるのだ。

 いかがだっただろうか。このパラリアルトーキョーは会期中しか公開されず、今後VRChatにアクセスしたとしても会期後そのままの姿で公開される事はない。
仮想世界で圧縮された東京都を縦横無尽に観光し、思うがままに企業の展示物を見て手にとって買ってみる。
現実で観光も出来ず外出自粛のムードが漂う中で、この仮想世界に広がる東京で目一杯遊んでみる体験は一生のうちそうそう出会えるものではないだろうから。
(撮影・取材:市村 龍二)

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