«
»

ネパールのホリフェスティバル

色を付け合う聖典由来の祝い

 人々が色を付け合うネパールの祭り「ホリフェスティバル」は、3月最初の満月の日に行われる。今年は9日。首都カトマンズの中心部、ダルバール広場周辺に行くと「ハッピーホーリー!」の掛け声が所々で響く。
 即座に誰もが色粉を付け合い、大きな歓声と悲鳴が入り交じった。外国人旅行者も例外ではない。ビニールに入った色水を投げつけ合っては逃げ去る子供たちもいて、楽しみ方はさまざまだ。

 由来は、ヒンズー教の4000年前の聖典「マハバーラト」にある物語から。悪魔の王ヒラニャカシプはとても傲慢(ごうまん)で、人々が神ビシュヌを崇拝することを許さなかった。しかし王子のプハラドは、ビシュヌの信者だったので父と対立することになり、後日、ヒラニャカシプは妹ホリカに王子を満月の夜に燃やして殺すように命じた。しかしビシュヌの祝福により王子は生きることができ、逆にホリカが燃やされて灰になった。そして、王子が火の中を歩いて行くと、人々は色を付け合い水を王子に掛けて称賛した――。このような善なる者が救われる勧善懲悪の故事から始まった祭りだ。

 ところが今年は魔王ヒラニャカシプの呪いかどうか知らないが、新型コロナウイルスの感染が拡大。大規模集会は中止になり、例年に比べると参加者は少なかったという。

 それでもお互いに色を塗り合う笑いと熱狂の中で、ネパール人の一人は「ホリカを灰にしたようにコロナウイルスもわれわれの熱気の前に退散するでしょう!」と興奮気味に話した。ビルの上から水を掛けるなど、不意の“大雨”が襲うこともあるので、雰囲気だけを楽しみたい旅行者は傘の用意をお忘れなく。
(写真と文、寺前克彦)

0

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。