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「ファッションショーが変わる!」VirtualCollection Stage1レポート

 バーチャルコミュニケーションツール「VRChat」上で行われるファッションショー「VirtualCollection Stage1(バーチャルコレクション ステージ1)」が3月2日、開催された。これはVRChatの中にファッションショーを行うワールド(場所)を作り上げ、実際に販売されるアバター(身体や衣服など)をモデルが着用し参加者へアピールするという実際のファッションショーさながらのイベントだ。
報道関係者を含めた招待客はまず白いホールへと案内され、軽量化のためにピクトグラムのようなアバターへと着替えを行った。(確認するが、これから起こることは全てバーチャル上のことである)。主催から提示された諸注意を確認した後、ホールそのものがステージの存在する海面まで降下し、そこへの通路がせり上がるという大掛かりなギミックを経て会場まで向かった。
海上に立つステージは大型モニターを備えた半球状のもので、頭上から色とりどりの照明がステージを照らす。会場後方には展示物として武器のモデルデータが設置されており、精巧な銃器や剣に盾が配置されている。その中でも目玉は「吹き飛んでしまったデータを復旧できる」という謎に包まれたオブジェクトであった。

 ファッションショーがスタートし、幾人かのモデルがそれぞれアバターを着用した状態でステージに登場していった。特長的なのは一般的なライブ会場のようなステージの他に、会場や中央に2つの円柱状の「島」という小さなステージが存在した事である。
通常のファッションショーは直線上のランウェイをモデルが歩くだけに留まるが、このバーチャルコレクションではモデルが島へと移動。観客は360度好きな角度からアバターとモデルを鑑賞する事が出来るのだ。
アバターの中には「光の当たり方によって光沢や色彩が変わる」という機能を持っているものもあるため、参加者は思い思いの方向からアバターを観察し品評を行うことができる。

 ショーの途中で突然視界が黒い闇に覆われ、それが取り払われた瞬間に会場は真っ赤なライトに染まっていた。現れたのは、VRChat内に存在するグループの一つである「悪役結社ヴァリアール」。
彼らは会場に運び込まれた武器のモデルデータを強奪するべく乗り込んだと声高に告げ、レイピアを下げたモデルと「多次元怪獣 イー・モス」が交戦。その最中に同じくVRChat内グループの一つ「VRCアクション部」が防衛隊として参戦。
お互いが激しく切り結びヴァリアール幹部が次々と撃破されていく中、「ヴァリアール大首領 エーデル」が真の目的を暴露。ファッションショー内に展示されている謎のオブジェクトの奪取こそが真の目的であると告げ、倒された幹部を蘇生。撤退するヴァリアールに歯噛みしながら防衛隊メンバーも会場外へ脱出するという、ヒーローショーの様な一幕が繰り広げられた。
なお本会場の様子はサテライト会場でも中継されているものの、そちらへもヴァリアールと防衛隊が出張しているという会場外の観覧者を飽きさせない工夫があったことも特筆すべきことである。

 またも視界暗転後に会場の景色が元に戻り、デスメタル系Vtuber「藍葉じるあ」氏のライブ演奏の後、小休止を挟んでファッションショーが再開された。
前半以上に入れ替わり立ち替わりモデルがアバターを身につけてアピールを行っており、製品によっては同一のアバターを複数名のモデルが着こなしアピールするというバーチャル世界ならではのユニークな演出も繰り広げられた。会場外から遅刻して来たかの様に走ってきたモデルさんが手にしていた懐中時計の様なモデルデータが販売品であったりするなど、独特なテイストで製品をアピールする試みも観客の心を鷲掴みにしていた。
最後にはサプライズゲストとして、バーチャルオルタナアーティスト「memex」のメンバー「アラン」さんと「ぴぼ」さんが登場。仮想世界でありながら最後の最後まで、会場は盛り上がる熱気に包まれていた。

 大盛況の中、VirtualCollection Stage1は2時間にも渡る長丁場の全演目を完了し無事に閉会となった。
3月8日から開催されるVR展示即売会「バーチャルマーケット2」の開催に先立つ大型イベントとして行われたものの、イベント全体を通して30名近いスタッフをかき集め、またスタッフ全体が有志であるというVR系イベントでは類を見ないレベルの大勢でハイクオリティな物に仕上がっていた。
VRChatのシステム的な欠点として、大人数を収容出来ないという欠点も、いくつものサテライト会場を設けて本会場の様子を中継する方法を取ることと、ヴァリアール、防衛隊の両者がサテライト会場を巡るという退屈させない要素を加えることによって、数多くの視聴者を獲得することとなった。
さらに本会場の様子はVRChatだけでなく、Youtubeにもライブ配信されており、そちらでは4000人を超える視聴者が配信を見に訪れている。
どれだけの人間がこのイベントに注目を集めたのか、推して知るべしと言える規模であった。

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 きらびやかな照明、派手なランウェイ、聴衆の目を惹きつけるドレス。ファッションショーはいつの時代でも大衆を虜としてきた美の祭典だ。だが、現実にそういった場を訪れることができるのはファッション業界関係者や報道陣、セレブといった一部の層に限られていた。
しかし、VirtualCollection Stage1では数多くの一般の人々がファッションショーを作り上げ、参加し、そして視聴し楽しんでいった。

 現実世界で同じイベントを行おうとすると発生する数々の問題点を飛び越えて喝采の中幕を閉じたVirtualCollection Stage1。これから増えていくであろう仮想世界の活用法の一つの在り方として着目されてはいかがだろうか。
(文章・写真・動画:市村龍二)

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