ワシントン・タイムズ・ジャパン

想像力触発される遺跡群

ギリシャ・アテネ アクロポリス、アゴラを散歩する

 アテネは散歩にもってこいの場所だ。しかも、鍛えられるのは脚力だけではない。想像力も触発される。アクロポリスや古代アゴラの遺跡は、歩いて回るのに丁度いい圏内にある。
 ケラミコスもすぐそばだ。ここは陶工の居住区で、セラミックの語源となった。南のエーゲ海から吹き寄せる風が心地よい。ギリシャの風物詩でもある糸杉と松、オリーブの木も十分、楽しめる。

 古代ギリシャ時代、アクロポリスの上に建設されたパルテノン神殿は、女神アテーナーを祀(まつ)った神殿だ。紀元前480年のペルシャ戦争で破壊された後、再建され、アテナイ帝国の国庫として使われた。

 6世紀にはパルテノン神殿はキリスト教に取り込まれ、マリヤ聖堂となった。オスマン帝国に占領された時にはモスクへと変えられ、神殿内にはミナレットが建てられた。誇り高い女神アテーナーにしてみれば、異国の宗教に聖域を侵されたことに憤懣(ふんまん)やるかたない思いだっただろう。

 ソクラテスも歩いたであろう中央広場のアゴラは、弟子たちと散策しながら対話を重ね、真理探究する道でもあった。

 昼の日差しの中を歩くと、さすがにガス欠状態だ。客待ちしている沿道の露店で、チェリーのアイスクリームをコーンに載せてもらう。

 一息つくと小腹が空いてきた。ギリシャでは大衆レストランのことを「タベルナ」と言う。食べに行くのに「タベルナ」だ。

 アクロポリスの「タベルナ」では、鶏の味の濃さが脳裏に焼き付いた。この鶏も生前、庭をちゃんと歩き回ったやつに違いない。アテネでは鶏だって、しっかり散歩する。

(文と写真・池永達夫)

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