ワシントン・タイムズ・ジャパン

現実世界と仮想世界が融合する未来―ニコニコ超会議2018

仮想世界につながるエンターテイメントへ

 2018年4月28、29日の2日間、幕張メッセで「ニコニコ超会議2018」が開催され、16万1277人が来場、インターネットを通してイベントの番組を視聴した人数は612万1170人に達し、昨年を大きく上回る動員を達成した。

(昨年の記事:バーチャルとリアリティの融合―ニコニコ超会議2017

 初夏のややうだるような暑さの中、老若男女問わずこれだけの人数が一堂に会したこのイベントの熱気は半端なものではなかった。

 これまで出展してきた協賛企業のブースが数多く見られる中、今年は加えて「バーチャルYouTuber」をゲストとして会場に招致。
 先日掲載した特集記事(今年も「超満員」、ニコニコ超会議2018)「超バーチャルYouTu”BAR”」という対話型企画や「バーチャルキャスト」という参加型企画の他に、同じバーチャルYouTuberである「電脳少女シロ」氏が出演した「超ゲームエリア:ステージ」や、「キズナアイ」氏が小林幸子とコラボレーションを果たした2日目の「超音楽祭2018」で大盛り上がりを見せていた。

超音楽祭2018ブースに出演するキズナアイさん。仮装世界発の彼女が現実の観客を盛り上げていく

超音楽祭2018ブースに出演するキズナアイさん。
仮装世界発の彼女が現実の観客を盛り上げていく

超ゲームエリアブースに出演するバーチャルYouTuberの電脳少女シロさんとばあちゃるさん。どちらも人気のあるバーチャルYouTuberだ

超ゲームエリアブースに出演するバーチャルYouTuberの
電脳少女シロさんとばあちゃるさん。
どちらも人気のあるバーチャルYouTuberだ

 バーチャルYouTuberとは動画投稿サイト「You Tube(ユーチューブ)」に動画を投稿しているユーザーを「YouTuber(ユーチューバー)」と呼んでおり、中でも人気の投稿者は、主に自分の姿を映した動画を投稿するのが一般的だった中で、最近はアニメ調のキャラクターのCGを投稿者の代わりに動画を投稿している投稿者を指し、現実の姿では無い仮想(バーチャル)の姿を使っているため「バーチャルYouTuber」と呼ばれている。
 強引に言い換えてしまうなら、テレビにおける芸能人の様な存在であるとイメージすると分かりやすくなるかもしれない。
 現在バーチャルYouTuberはYouTube動画投稿者の中で2000人は居るとされており、人気の投稿者には万単位のファンがついて回る一大コンテンツとなっている。
 そしてニコニコ動画は元々YouTubeに投稿された動画を引用しコメントを表示できた所からサービスをスタートさせているため、今回YouTubeで人気のあるユーザーをニコニコ超会議へ招致したのはいわば原点回帰とも取れるやり方だ。
 現在YouTubeの中で人気となっているバーチャルYouTuberであっても、イベントを起こせる程の経済規模を持った者はそう多くなく、ニコニコ動画側としては集客力の高い人物を呼びたいという双方の思惑が合致したものだと言われている。
 しかし、そういった話はどこ吹く風と言わんばかりに、SNSサイトの「Twitter(ツイッター)」では各バーチャルYouTuberや出演者がイベントの感想を投稿していた。
 その甲斐あってか、1日目よりむしろ2日目の方が口コミ効果で来場者が増えたのではないかと感じる程であった。

 例年同様舞台演出のクオリティとCGの合成に定評のある「超歌舞伎」以外にも、幾つかの出展で「VR(仮想現実)」を中心としたアトラクションが展開されており、参加者がVRゴーグルを被りながら思い思いのコンテンツを楽しんでいる姿が見受けられた。
 VRを用いたアトラクションは物理的な広さをそこまで必要としない一方で、没入感がとても高く、ユーザーが体感するコンテンツのあり方として「小さいスペースで大満足する展示」を提示するデモンストレーションとしての役割も果たしている。
 特にNTTブースが新たな通信規格である「5G」の宣伝もあってか非常に力を入れており、同企業のどの展示も長蛇の列が出来ていた。

NTTブースの展示の様子。今回は新しい通信規格「5G」の宣伝とあってかなりの面積でブースを展開

NTTブースの展示の様子。今回は新しい通信規格「5G」の宣伝とあってかなりの面積でブースを展開

 仮想現実繋がりとして、日常と違う自分を「仮装」で演出するコスプレイヤーの姿もとても多く見られた。
 今回もとても多くのコスプレイヤーが来場し、会場のあちらこちらで見たことのあるキャラクターが闊歩している姿は、まるで彼らが別の世界から当イベントを楽しみにきたかの様に感じられた。
 もちろん今回話題となったバーチャルYouTuberのコスプレイヤーも居り、超バーチャルYouTu”BAR”ブースで盛り上がる観客の中にその姿を見る事が出来た。

◆ * ◇ * ◆

 ここまでバーチャルYouTuberへの注目が集まったのは、若年層を中心に「しがらみが無くお互いを褒めて交流し合いそれぞれ個性が強いバーチャルYouTuberは見ていて気持ちが良い」という、既存のテレビ等のコンテンツに対する飽きと諦観の裏返しとも言える感情が存在するからである。
 バーチャルYouTuberの中にはねこます氏のように一般人であった人々も居り、またバーチャルYouTuberは自分に寄せられた意見に対する返答や反応が早いという特長が存在する。
 TwitterなどのSNSをフル活用し、コンテンツの消費速度が早い現代において次から次へと話題を生み出していくスタイルが受け入れられているのである。
 そして芸能人やプロスポーツ選手の様な「距離の遠さ」を感じない有名人としての立ち位置と振る舞いが、超バーチャルYouTu”BAR”ブースに多くの人々が押し掛ける理由なのかもしれない。
 事実、超バーチャルYouTu”BAR”ブースの質問者の中には画面の向こうのバーチャルYouTuberに感激し号泣したり感極まったりする人が見受けられた。
 自分の目の前に「憧れのあの人」が居る感動というのは、時代が変わっても色あせないものなのだろう。

バーチャルYouTuBARブースでねこますさんに相談をする参加者。仮想世界のキャラクターが現実世界の個人の悩みを解決する

バーチャルYouTuBARブースでねこますさんに相談をする参加者。仮想世界のキャラクターが現実世界の個人の悩みを解決する

 バーチャルYouTuberという新たな存在は、機材や環境さえ整えれば誰でもその一歩を踏み出すことが出来る非常に特殊なものである。
 そして最近では、バーチャルYouTuberと対話も出来るコミュニケーションツール「VRChat(ブイアールチャット)」も登場した。現在このVRChatではクリエイター企業が自社向けに会議や撮影出来るオフィスを作成したりと、世界のあり方がVRによるコミュニケーションを重視する流れになりつつある。
『バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん』ねこます氏にインタビュー! アバター文化は世界を変えるのか?

 昔の漫画に描かれていた未来世界の技術や流行り物は、本年のニコニコ超会議で存分に味わえる様になっていた。
 画面の向こうで憧れた人があなたの手を取り、これまでに見たこともない世界へ誘ってくれる日も近いのかもしれない。
 もしかしたら、今度はあなたが誰かの憧れの人になれるのかもしれない。
 漫画・アニメ・ゲームだからとあまり関わり合いを持てなかった人々にこそ、この先の未来を体感できるニコニコ超会議へ注目し続けていって貰いたい。

 なお、来年の「ニコニコ超会議2019」は2019年4月27、28日の土日に開催されることが決定している。来年はぜひ幕張メッセへ足を運んでみるのはいかがだろうか。
(市村龍二)

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