ワシントン・タイムズ・ジャパン

高まる日本国民の安保危機意識

拓殖大学国際日本文化研究所教授 ペマ・ギャルポ

強い意志で中国に対処を
企業内に潜むがん細胞に注意

ペマ・ギャルポ

拓殖大学国際日本文化研究所教授
ペマ・ギャルポ

 世界日報の貴重な紙面をご提供いただき、長年、私は読者の皆様に三つのことについて愚見を述べてきた。第一に日本に長期滞在する外国人として、そして近年は帰化日本人として日本国内のさまざまな出来事に関して、私のこれまでの経験などに基づいて私見を述べてきた。

 第二に祖国チベットおよび周辺民族に対する中国のさまざまな残酷極まりない人道侵害ならびに中国の同化政策の動向を訴えてきた。第三に激動するアジアにおいて日本の果たすべき役割と、日本に押し寄せる周辺諸国からの脅威について警鐘を鳴らすことに努めてきた。

人権抑圧を強める中国

 このたび10月26日、秋篠宮皇嗣御夫妻の長女眞子さまが、民間人とご結婚なさることで皇室を離れることになった。ご結婚の経緯や形態については、日本国内においてさまざまな意見があるようだが、私としては長年にわたって皇室外交などを通じ、多大な貢献をされたことに感謝と敬意を表すとともに、心底よりお祝い申し上げたい。

 私自身、眞子さまが2017年にブータン王国を公式訪問なされた際、その品位と慈悲あふれる所作でブータン国民の心を鷲掴(わしづか)みにされたことがいつまでも脳裏に浮かぶ。これから先、末永くお幸せに健やかに過ごされることを祈念したい。

ウイグル人住民らを地域単位で集め、中国共産党や毛沢東・習近平の崇拝を強要する政治集会=日本ウイグル協会提供

ウイグル人住民らを地域単位で集め、中国共産党や毛沢東・習近平の崇拝を強要する政治集会=日本ウイグル協会提供

 祖国チベットやウイグル、モンゴルに対する中国の同化政策や人権抑圧は国際世論に反し、ますます悪化の一途を辿(たど)っている。今般、北京政府は10月19日付で今までウイグルにおけるジェノサイド(集団虐殺)の直接指揮を取ってきた同自治区の共産党副書記・王君正が昇格し、チベット自治区の共産党トップに任命された。ウイグルにおける王君正のボスであった陳全国はかつてチベットで数々の残虐行為をすることで評価され、ウイグルに異動した。

 これらの人物はヨーロッパ諸国やアメリカなどによって非人道的政策の実行者としてブラックリストに載ったことで海外の資産を差し押さえられ、入国を禁じられている。この人事から読み取れるのは、チベットで再びさらに厳しい統制が行われるということであろう。

 今般の日本の衆院選で二つのことに私は注目した。一つは自民党のみならず候補者によっては政策パンフレットにチベット、モンゴル、ウイグルなどの現状に関心を示すことを明記している勇敢な人物が現れたことだ。また一つは、今まであまり重視されなかった外交と安全保障の問題について各党の党首討論会などでも、熱弁が奮われたことである。このような変化が現れたことは、日本国民全体が、今、日本が直面する安全保障の面における危機を感じているからであろう。

 例えば10月20日、各紙で報道された日本の「言論NPO」と中国の「国際出版集団」が合同で行った世論調査でも、90%以上の日本人が中国に対して好意的な印象を持っていないという結果が発表された。それとは反対に日本国内にはいまだに憲法9条を守り、防衛費を国内総生産(GDP)の1%以内に抑えることを主張する、幻想に生きる野党が存在することには呆(あき)れる。

 この選挙の真っ最中に北朝鮮がミサイルを発射し、中露が日本の領海を侵すことに対して強い憤りを表さない政治家、また強い声を上げない民衆にも不思議な感覚を覚えた。国を守り、国際平和を守るためには軍事や外交のみではなく、国家や国の危機への覚醒とその危機に対処する強い意志が必要であろう。

共産党支部が業務妨害

 例えば身近なところでは、中国共産党が中国国内における日本の合弁会社など、企業内に共産党支部の設置を強制し、党の工作を行って通常業務を妨害しているという。共産党の規約では党員3人以上いる場所には支部が組織できるようになっており、これは海外でも例外ではない。

 よってこのようながん細胞は日本国内でも蔓延(まんえん)している可能性が高い。日本政府は経済安全保障担当大臣を新たに設置し、日本からの高度な技術などの流出を阻止する構えを見せているが、社会に潜伏するがん細胞に対しても十分な措置を取る必要がある。

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