«
»

首里城焼失と復元の気概

詩人・美術評論家 星 雅彦

 首里城の円覚寺近くの木立の暗い茂みには枯葉によく似たコノハチョウがいた。龍潭(りゅうたん)の池のほとりには、ときたま幻の白い蝶(ちょう)が出現するという噂(うわさ)を聞いて、当時少年だった私は見たこともないその蝶を求めて首里城周辺に通い始めた。

 ある日、突然一頭の純白な蝶が歓会門の横からひらひら舞い降りてきた。よく見ると、ああなんと素敵な蝶か。白い翅(はね)に赤い日の丸の紋がくっきり見える。唖然(あぜん)として捕獲するのも忘れているうちに、蝶はあっという間に紺碧(こんぺき)の空の中へ消えてしまった。

 蝶が消えた所は首里城正殿の上空だった気がする。私は御庭(うなー)の中央に佇(たたず)んで正殿をぼんやり眺めていた。後日、その古色蒼然(そうぜん)とした正殿は何かしら風格があり、存在感があったことが思い出された。

国直轄事業として推進


...【全文を読む】
記事の全文をご覧になるには会員登録が必要です。
無料で毎月10本までご覧になれます。
新規会員登録へ

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。