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「武器は走りながら拾え」が信条

NYで磨いたインタビュー

「ニューヨークBIZ」CEO兼発行人 高橋克明氏に聞く

 英語もできず、お金も人脈もないまま「ニューヨークでジャーナリスト」という幼少期に抱いた夢をかなえるため、単身で渡米した高橋克明さん。今ではプロのインタビュアーとしてトム・クルーズや北野武、松井秀喜など400人以上の著名人を取材し、ニューヨークの邦字新聞「ニューヨークBIZ」CEO兼発行人にまで上り詰めた。高橋さんにインタビューの極意や成功者に共通することなどを聞いた。
(聞き手=長坂秀雄、宗村興一)

>>【動画】インタビュー収録 <<

意識するのは読者の目だけ/良い言葉聞き出すことに集中
行動したら本当に変われる

ニューヨークでジャーナリストになるという夢を持ったきっかけは。

高橋克明氏

 たかはし・よしあき 1973年9月8日岡山県出身。2000年11月に専門学校講師を辞職し、ニューヨークへ。マンハッタン在住。全米No.1邦字新聞「ニューヨークBIZ」CEO兼発行人。NYの最新事情を最前線で日々取材。

 物心ついたときからニューヨークは特別な街というイメージがあった。岡山の片田舎に生まれたのでニューヨークがアメリカにあるかどうかも知らなかった。12歳のときに学級クラスの七夕の時間に「将来はニューヨークでジャーナリストになる」と短冊に書いた。ニューヨークの場所もジャーナリストの意味もよく分かっていなかったけど、書くことは好きだった。

英語もできない、ビザとパスポートの違いも分からないという状況で渡米したが、不安はありましたか。

 全くありませんでした。学も金もなく、僕には行動しかなかった。人生大逆転するには、地球の裏に行けば何とかなるくらいに思っていた。

 ある日雑誌を読んでいて、「2000年が変わる瞬間ここで過ごす」という特集で、世界のさまざまな国が紹介されていた。つまり21世紀になる瞬間ということ。当時学校の先生をしていたが、その雑誌を読んで「俺は21世紀に変わる瞬間もまだ学校の先生をやっているのか?」と思うと怖くなってしまった。だから子供の頃の夢をかなえるため、ちゅうちょなく行動できた。

アメリカに来てから不安になったりはしましたか。

 渡米してからはずっと不安だった。ニューヨークは世界一厳しい街だと思う。世界一物価が高い、スピードが早い、税金は高い、競争率高い……。でも怠け者の自分にはそういう環境の方がいいのかなって。日本だと美味しい牛丼が300円ちょっとで食べられるから、バイトでも生きていける。だから自分は働かなくなると思った。

 ニューヨークは歩くイメージがあったから、最初にスニーカーを買おうと思っていた。ショーケースに格好いいのがあったので「これちょうだい」と店員に言ったら「ヴィンテージだから売り物じゃない」と言われた。「ああビンテージね」と言ったら「パードゥン?」て言われた。店員の「ヴィンテージ」という言葉をそのまま言ったのに、自分の英語が通じないことにショックを受けた。そこで自分は生涯英語がペラペラになれないと諦められたのが良かった。

 日本の人に言いたいのは、英語の勉強をどれだけしても通じないと思う。だからコスパを考えれば現場に行った方がいい。僕の信条に「武器は走りながら拾え」というのがある。

インタビューで心がけていることは。

 紙のインタビューで動画ではないから、言葉を脚色というか入れ替えることができる。相手から良い言葉を聞き出すことだけに集中できる。これは紙のインタビュアーの特権。極端に言えば、相手から良い言葉さえ聞き出せれば嫌われてもいいし、どう思われてもいい。私は読者の目しか意識していない。いつも相手の言葉で読者をノックアウトしたいと思っている。

 今は動画の方が相手の表情も見れて楽しい。でも紙の特権は、相手がカメラを意識せずリラックスした状態だから本音を聞き出せる。たまに失礼な質問をして喧嘩みたいになるときもあるが。

 インタビューのときは相手に嫌われるかもしれない、どうやったら良い言葉を引き出せるかを考えるのに必死で楽しくもなんともない。でも一番楽しいのはテープ起こし(文字起こし)のとき。その人が何を言いたかったのかを知るためにいったんその人になりきる。それは贅沢(ぜいたく)な時間だ。以前「モーニング娘。」にインタビューした後、少し「モーニング娘。」が自分の中に残っている状態で当時の猪瀬直樹東京都知事にインタビューしたら、こいつちゃらちゃらしてるなと思われた。

今まで400人以上の著名人にインタビューしてこられたが、成功者に共通する成功の秘訣は。

 400人以上の著名人にインタビューしてやっと見えてきた。それは人の話を聞かないこと。何もアドバイスを一切無視しろということではなく、自分の中の圧倒的価値観を自己啓発本やドキュメンタリー番組など、他人の価値観によって変えられないということだ。

 具体例として、イチロー選手がある有名なコーチからバッティングのアドバイスを聞いて、それが最高のアドバイスだと思っていた。しかし、ある日、自分の方が上だと気付いて、自分のやり方に変えた。人の話は参考までに聞くけれど、自分の価値観の方が上という意味だ。

夢を追う若者にメッセージを。

 若い子たちの10人中7人くらいは「私は性格が変わっている」などと言う。マイノリティーを狙って、全員がそれを狙ったら結果的にそれがメジャーになってしまう。人と変わっているとか言いながら全員エスカレーター左に寄るし。行動はしないけど口では変わっているとアピールしている。だからそういう子は行動したら本当に変われると思う。

 あと、自分を大切にしろという人が多いが、大切にしなくていいと思う。こんなに恵まれている国でこれ以上大切にしなくていいと思う。僕も自分を大切にしたいと思わない。こんな怠け者を甘やかしてはだめだと思っている。

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