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大事にしたい家庭的環境

認知症ケア

秋田市認知症グループホーム連絡会ケアパートナーズ会長 菊池 朋氏に聞く

 高齢化社会の日本では認知症になる可能性が高い。介護施設の現状はどうなのか。大別して8種類ほどある高齢者施設のうち、急速に普及し、全国で2番目に多いのが地域密着型のグループホームだ。秋田市の認知症グループホーム連絡会ケアパートナーズの菊池朋会長は「気楽に施設を見学して下さい。特に介護を目指す若者が欲しい」と訴える。
(聞き手=伊藤志郎)

記憶失っても感情は失われない
「楽しい」を積み重ねる

グループホームとは。

ケアパートナーズ会長 菊池朋氏

 きくち・とも 秋田県由利本荘市出身、46歳。日本福祉大学社会福祉学部卒。医療法人、社会福祉法人勤務。平成23年発足の秋田市認知症グループホーム連絡会ケアパートナーズ副会長、29年より会長。29年より秋田市雄和のグループホームつばき苑勤務。そのほか23年より保護司として更生保護活動を行っている。

 平成12年(2000年)にグループホームは介護保険制度と同時に誕生しました。その頃は主に特別養護老人ホーム(特養)と介護老人保健施設(老健)位しかなかった。

 グループホームは、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症の診断を受け、要支援2から要介護5までの認定を受けた方が入所できます。共同生活の中で認知症の症状を抑えていくのが一つの役割で、施設の定員数は5人から9人が1単位(ユニット)、一つの事業所は2ユニットまでと決められています。

 アルツハイマー型患者への薬は出ていますが、完璧な治療方法がありません。ADL(日常生活動作)、つまり移動や排泄(はいせつ)、食事、更衣、洗面、入浴などの動作が低下し、さまざまな認知症の症状が出現したりしますが、そのような認知症であってもその人らしく穏やかに生活していただけることを目的の一つとしております。

先日、秋田市の事業所が合同で作品展を開きました。

 入居者がリハビリ作業や趣味活動として作った作品を見てもらうことと、職員と入居者同士の交流を図ることが趣旨です。グループホームは秋田市内に30カ所ほどあり、作品展示や各ホームのパンフレットコーナーを設置し施設への理解を深めていただくため合同で作品展を始めました。連絡会に加盟している事業所は現在26です。

入所者に生きがいを持たせるための日常の工夫は。

 一般的にホームの畑では枝豆、ナス、キャベツ、キュウリなど簡単な野菜を育てています。家庭的な環境を大切にし、食材を一緒に買いにいって、大丈夫な人は包丁で調理し、職員も一緒に食べる。また入所者の皆さまは家事などいろいろお手伝いをしてくれます。その時職員は必ず「ありがとうございます」と一言掛けます。入居者は、人さまの役に立っていると思い生きがいにつながっていきます。

 体操や計算ドリル、漢字の書き取りもあります。また、お友達と会うとか通い慣れた病院での受診、同窓会への参加に同行することもあります。家にいた時は午前9時まで寝ていたとか午後1時半に食事していたなどの希望もかなえます。画一的ではなく一人ひとりに合わせる、そういう意味でグループホームは家庭的と言えます。

認知症が現れてきた時に、家族が介護施設に入所させる目安をどう考えていますか。

 認知症の進行を出来るだけ緩やかにするのであれば、軽度のうちに入ると効果が最大発揮できますが、中等度以降に入所される方がほとんどだと思います。施設に入りたくない方を無理やり入所させるのは困難です。デイサービスやショートステイを利用して少しずつ施設入居につなげていくこともあります。入居したら意外に施設での生活が居心地よく、そのまま長期間利用することもあります。

 認知症が進行し、特にBPSDと呼ばれる周辺症状、徘徊(はいかい)や物盗られ妄想などで家族が疲弊し、お互いの関係が悪化したり虐待につながる恐れも多い。まずは地域の包括支援センターなどへの相談、早め早めの専門医への受診をお勧めします。

料金の目安は?

 秋田市内では介護保険の1割負担分、その他食費、家賃等を含め1カ月13万円から18万円位です。生活保護の方でも入居できるホームもあり、15万円前後が一番多いと思います。

施設の職員が入所者に暴力を振るう事件が時々ニュースを騒がせます。

 私たちの連絡会では、2カ月に1回の研修会に毎回20~30人程度参加します。そこでは虐待や身体拘束防止についての研修もほぼ毎年行っています。各ホームでの内部研修を定期的に行うことも大事です。不適切なケアを行わない、職員同士が見逃さない態勢、風土づくりが重要です。またグループホームは2カ月に1度、地域の方も参加する運営推進会議の開催が義務付けられています。

 学生さんの実習も各ホームで受け入れています。ほとんどの学生が「ゆったりして笑顔が感じられました」と感想を述べてくれています。

 認知症のイメージは良くないかもしれませんが、認知症であってもその人らしく生活しているところを、家族も地域の方も、そして特に若い人に知っていただきたい。近くの施設を気楽に見学することで理解が深まるでしょう。私たちの仲間も、介護を目指す若い人が欲しいと言います。秋田県では短大の介護福祉学科が定員割れしたり、介護学科を閉鎖した専門学校もあり、非常に危機感を持っています。

報道では、腰を痛めるとか、24時間呼び出されるとか、介護はキツイというイメージが定着しています。

 腰痛を引き起こさないような介助方法を学ぶことでリスクを低下できます。また認知症では自分の家族の顔や大切な思い出の記憶が失われることが多いですが、感情が失われることはありません。私たちは出来る限り「楽しい」「うれしい」といったプラスの感情を積み重ねていきたいです。

 うつや統合失調症を併発して対応しきれないときは心療内科の専門医などに相談し、必要であればいったん病院に入院していただく例もあります。

 看(み)取りをすることもあります。私の事業所では昨年度は2人看取りました。本来であれば特別養護老人ホームの対象ですが、顔見知りの仲間と職員がいる所で過ごしたいとの希望があれば家族と相談して対応しています。

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