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天皇陛下と令和の皇室への希望

日本を元気に 国民鼓舞を

評論家 八幡和郎氏聞く

 5月に皇位を継承された天皇陛下の即位の礼が行われるに当たり、評論家・作家で徳島文理大学教授の八幡和郎氏に、天皇陛下と皇室への期待や希望を聞いた。(聞き手=編集局長・藤橋 進)

八幡和郎氏

 やわた・かずお 昭和26年滋賀県生まれ。東大法卒。通産省情報管理課長など歴任。徳島文理大教授、国士舘大大学院客員教授。現在、作家・評論家として活躍。著書に『歴代天皇列伝』(PHP研究所)ほか多数。

即位の礼が行われ、いよいよ本格的に令和の時代が動きだすが、平成時代を振り返り、令和はどういう時代にすべきと考えるか。

 平成という時代は昭和の蓄積をほとんど使い果たすという時代だった。先進国の経済成長率は一般に低いが、平成の30年間、G20参加国で、GDP(国内総生産)が2倍にならなかったのは日本だけだ。成長率は年平均1・6%で北朝鮮並みの最低クラスだ。その反省のもとに心機一転頑張らないといけないと思う。

 戦争がなかったのは良かったが、平成元年にベルリンの壁が崩壊し、ソ連の脅威がなくなり中国も改革開放に向かい、軍事的脅威のない時代になるかのように見えた。しかし、30年たってみると、ロシアは復権を目指し、中国は軍事大国になるし、北朝鮮は核武装し、戦争の危険が大きくなり、平和の基盤が崩れている。

 令和はいい元号だと思う。平成は静的な時代だったが、令和はもっとアクティブな時代にしなければならない。一番重要なことは、日本が元気になることで、陛下におかれては、元気になろうと国民を鼓舞していただきたい。

具体的にどういう形が考えられるか。

 両陛下は、国内のいろいろな所を訪問されるが、これまでは被災地のお見舞いや社会の目立たないところで頑張っている人を激励するというのが多かった。もちろんそれも続けていただきたいが、例えば経済の最前線で頑張っている人、芸術なら前衛的な分野で活躍している人などを訪ねられてはどうか。少子化も大きな問題で、例えば「子供をたくさん産んだ夫婦を何組か食事にお招きするとかもいいのではないか。

きょうの即位礼には海外からも多くの賓客が招かれ、天皇皇后両陛下の国際的なお披露目的な意味もあるが、世界の王室の中での日本の皇室の位置は。

 皇室、王室というのはそれが変わらず継続していることが大事だ。世界の王室ではイギリス王室が1066年のノルマンジー公ウィリアムの征服以来続いていて、2番目に古い。わが国皇室はそれよりもっと古く、統一国家成立以来、独立を維持し、その中心におられたというのは大変なことだ。それを可能にしたのは、政治と距離を置き、贅沢(ぜいたく)をしないということがあった。それらを超越する立場をこれからも続けていくべきだ。

皇位を継承されてから半年近くが経過した。象徴のあり方を真摯(しんし)に模索された上皇陛下をお手本にされているようにお見受けするが。

 象徴天皇として決まったスタイルがあるわけではない。これから両陛下が、ご自分のスタイルをつくっていかれると思う。

天皇は政治的発言が制限されているが、首相から内奏を受ける。

 イギリスのように陛下がもっと首相にものを言われたらいいと思う。陛下と首相が、率直に議論をし、しかしその内容は絶対に口外しない。そして当然のことながら最終的判断は首相が行い責任を取る。

戦後、自衛隊との接点はほとんどないようだが。

 自国の防衛に当たる人々を激励し鼓舞することは、君主の一番重要な仕事だ。ヨーロッパの王室と軍隊との関係をよく見ておられる陛下は、その重要性をよく認識しておられると思う。

靖国御親拝を望む声もある。

 靖国参拝をするかどうか以前に、戦死者を犠牲者でなく英霊として扱ってほしい。英霊の顕彰は君主の大事な務めだ。そうしないと誰も国を守るために命を賭けなくなる。

安定的皇位継承には、まだ課題が多い。

 私は女帝が絶対いけないとは考えないが、君主制というのはあくまで前例を踏襲しているから貴いのであり、勝手に変えてはいけない。男系男子という伝統を継承する努力もせずにいきなり女帝容認など論外だ。重要なのは皇族個々人の人気や評価ではなく、皇室の伝統だ。

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