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岐阜を日本一の鮎王国に

清流王国

岐阜県議会議員 玉田 和浩氏に聞く

 ピンポイントの観光振興ではなく中部北陸圏全体を底上げしようと始まった「昇龍道プロジェクト」。岐阜はその中でも要衝の地だ。「岐阜を日本一の鮎(あゆ)王国」にすることがライフワークの岐阜県議会議員の玉田和浩氏に、その意気込みを聞いた。
(聞き手=池永達夫)

海の浄化は山から
両者結ぶ長良川が重要に

岐阜には世界遺産が目白押しだ。

玉田和浩氏

 たまだ・かずひろ 昭和18年、岐阜市大洞で岐阜市議玉田為好の長男として生まれる。昭和52年、岐阜市議初当選、3期10年務める。平成3年、岐阜県議会議員に初当選。平成20年、岐阜県議会議長。平成24年、自民党県議団議員会長、平成31年、8期目当選。モットーは「光る岐阜」。

 世界遺産にはユネスコが認定する世界遺産と、国連食糧農業機関(FAO)が認定する世界農業遺産がある。「清流長良川の鮎」は3年前、世界農業遺産に認定された。石川県も同じように、輪島の棚田が世界農業遺産に認定されている。

 岐阜県にはその他、美濃和紙や関の曽代用水、高山の山車などユネスコ認定の無形文化遺産がある。それに長良川沿いに、金華山や岐阜城、関市など各名所が連なる。その岐阜県と石川県、それに愛知県が加わって「昇龍道プロジェクト」など観光交流を深めている。

その中で長良川の売りは。

 清流だ。

 日本に河川は数あるけれど、全日空のパイロットが天気のいい日に上空8000メートルで日本列島を横断して、眼下に一番きれいな川というと長良川だったという。

 町の真ん中で、いつでも泳げる清流のある川というのは長良川以外にない。長良川の特徴はダムがないことだ。

 岐阜は「木の国・山の国」といって、県土の87%が山だ。その山というのは、人間にとって欠かせない水を生み出す。その透明度の高い清流を未来永劫、守ろうとしている。

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 長良川の沿線166キロには大体、86万人の人が生活している。その生活を維持しつつ、清流を守る。

 そして海を浄化するには山から始めないといけない。その山と海をつなぐのが川だ。海の幸も、上流の水がきれいなものであれば、川岸にプランクトンも発生して、魚が多くなる。

 伊勢湾の海の幸を育てるにも、川は重要だ。人間で言えば、川は血管だ。それが詰まったり汚染されると脳梗塞とか命取りにもなる。

 その清流を守るためにも、鮎をしっかり保護することが肝要だ。岐阜県の県木はイチイの木、花はレンゲ、鳥は雷鳥、魚は鮎だ。

 鮎というと、高知の四万十川や栃木の那珂川などが挙げられるが、本当の清流は長良川だけだ。

 どうしてそんなことが言えるかというと、内水面漁業振興大会というのが一年に1回ある。持ち回りで大会をするが、四万十川で開催された時、鮎料理が出された。これは「四万十川の清流の鮎」ということだったが、宴会が終わったら、テーブルには鮎がたくさん残っていた。結局、出された鮎は食べられなかったということだ。

 岐阜で大会があった時も、当然、長良川の鮎の塩焼きが出された。すると、30皿に一匹も残っていなかった。それだけの差がある。

 私は岐阜県を日本一の鮎王国にしたいと思っている。

 鮎は清流にしか住まない。日本一の鮎王国ということは日本一の清流王国ということを意味する。

 すでに長良川の鮎の調整生産量は日本一だ。鮎の卵を取り稚魚を育てるのは魚苗センターといって、その代表理事も務めている。

鮎は養殖で育てるものなのか。

 遡上(そじょう)もしてくるが、長良川の下流域に河口堰(ぜき)ができたから、その数も限られる。それで鮎の親を育てて卵を採り稚魚を放流している。

どこがやっているのか。

 県と漁業組合の共同事業だ。

 他の地方でも大体、25トンから30トンの放流種苗を生産している。だが、美濃は年間70トンを生産してまさに日本一だ。

 鮎は清流しか住まない。その清流を維持できれば藻が増え、それが鮎の餌になる。川の汚染が進むと、川にはヘドロがたまり、石に藻が付かなくなって鮎も寄り付かなくなる。

鮎が清流のリトマス試験紙のようなものだというのはよく分かるが、どういったやり方で清流を守るのか。

 清流を守るためには山をしっかり守らないとだめだ。山崩れが起きると、川は赤土で濁る。また、お百姓さんも気をつけている。これから田植えすると、白カビが出てくる。昔は農耕馬に田をすかせていたが、今はトラクターで一気に掘り返す。すると泥水があふれて、それが側溝に流れて川を汚す。

 ただ林業家やお百姓さんだけではなく、地域に住む全住民が意識しないと清流を守ることはできない。

 だから子供たちにも、鮎を放流してもらうことで清流を守ることを学んでもらっている。そういう積み重ねこそが、昇龍道の観光地化につながってくると思う。

 昇龍道プロジェクトというのは格好いいが、こうした地道な活動なしには決して実現するものではない。

雑草を取って肥料にするプロジェクトが動いている。

 現在、草は一般ごみ同様の扱いを受けるようになった。一般ごみというのは、家庭ごみと一緒だ。だから焼却炉で燃やさないといけない。普通の家庭から出る一般ごみだけでも、焼却場は満杯状態だ。さらに今は燃やすとダイオキシン発生で環境問題が起きたりCO2発生で簡単に燃やせなくなった。

 それで、これらの岐阜市全域から出る草2000トンを処分するため、投資して草を堆肥にして、循環型経済で回そうと思った。草を堆肥にしようという話だが、農家は当初、これを敬遠した。それをまくと訳の分からない雑草が、生えてきて往生するからだ。

 それで草を堆肥にする際、酵素を使い80度近い高温になるように工夫した。すると種は全部、死滅するばかりか、いい肥料ができるようになった。雑草を寝かせた肥料で土はふかふかになって、腐葉土的な効果が大きい。だから根がしっかり張り、野菜も良いものができる。

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