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  • 薬膳料理で健康寿命延ばす

    食べながら治す

    薬膳料理店「漢喫茶」 宮本貴世絵さんに聞く

     「医食同源」という言葉がある。食べて病気を予防し治療するという考え方だ。しかし、多くの商品に使われている食品添加物を取り過ぎると、体を蝕(むしば)む恐れがある。医食同源に逆行する状況にあるのが、現代の食生活。東京・神田に昨年2月、薬膳料理店「漢喫茶」をオープンさせた漢方のスペシャリスト(薬学博士)の宮本貴世絵さんは添加物を避ける食生活が健康寿命を延ばす鍵と訴える。
    (聞き手=森田清策)

    「いのちの源」謹んでいただく
    添加物をいかに避けるか

    なぜ薬膳料理店を始めたのですか。

    宮本貴世絵さん

     みやもと・きよえ 1988年、中国・上海中医薬大学国際学部で漢方の臨床、2002年、韓国・慶熙大学校外来教授、薬学博士、16年、一般財団法人インターナショナルシリカ医科学学会理事長、漢方薬膳(株)代表取締役。

     長年、漢方薬局で薬を処方したり、病院で術後食を指導したりしてきました。しかし、食欲を抑えられない人が多過ぎます。カロリーを制限しても、一時的には守りますが、時間がたつと、人に隠れてあんパンやまんじゅうを食べるから、糖尿につながってしまうのです。

     これでは健康になれるはずはありません。薬で治すことに限界があると感じるとともに、日々の食生活から健康がつくられるのだと気づきました。そこで「食べながら治す」をコンセプトに薬膳料理を提供する店を開くことにしたのです。

     最初はお粥(かゆ)専門店ということでやっていましたが、神田にはうなぎ屋が多いことから、うな重のリクエストが絶えませんでした。そこで、うな重も提供することにしました。

     しかし、神田のお客さんは舌が肥えています。なかなか満足のいくうな重ができませんでした。試行錯誤を繰り返すうちに、ウナギを漢方で蒸すことに成功しました。タレにも中国の南方にしか生育しない羅漢果(ラカンカ)(植物性の甘味料)やナツメなどを使って、できる限り添加物を抜き、薬膳でありながらも老舗に劣らない味のうな重を提供できるようになりました。普通よりもさっぱりとして爽やかです。

    ウナギは滋養強壮に良いと言われます。添加物のないうな重をおいしくいただく。まさに医食同源ですね。

     日々の食生活、つまり「いのちの源(もと)」を謹んでいただくことが、健康の基本です。うな重のほかにも、冷たいお粥も人気です。氷とマリンコラーゲン、つまり海のコラーゲンが入っていて、夏に食欲がないときでも食べやすい。マリンコラーゲンは、デトックス(体内の老廃物などの排出)の効果があります。

    中国に留学して漢方を学んでいますが、漢方との縁は?

     実家は明治3年から、茨城で薬屋をやっています。私は3歳の頃から漢方を飲まされたり、山歩きをさせられたりして育ちました。つまり、薬屋の4代目です。

     先祖は、膏薬(ドクダミ)を作っていました。その膏薬の評判が良くて、水戸黄門や助さん、格さんが旅に持参し、あかぎれや霜焼けに塗っていたそうです。

     そんな家ですから、「道端で倒れている人がいたら、助けてあげなさい。それができなかったら医療に携わる資格はありません」と言われて育ちました。

    現代の食生活はどこに問題がありますか。

     日本だけでなく、世界中のどの国でも、食品添加物が避けて通れないことですね。「添加物を食べても問題ない」と皆さん考えるでしょうが、何が使われているかといえば、漂白剤です。

     スーパーやコンビニなどで、添加物が使われていない商品を見つけるのは難しいくらいです。みそやしょうゆでもカビは生えにくいし、おにぎり、弁当のご飯も傷みにくいのは、添加物が使われているからです。政府の規制のぎりぎりまで入っています。

     添加物の安全性は量で決まりますから、それを排除するものを食べたり飲んだりしていれば健康を保てます。

     しかし、免疫の足らない人が長年、添加物の入ったものを飲食すると、排除できなくなって、肌が荒れたり爪が弱くなったりと、体にさまざまな問題を起こします。

     昔の子供にアトピーはありませんでした。花粉症もありませんでした。今は、アトピーや花粉症に悩む人が増えていますが、それは添加物が一因と考えて間違いありません。

     私が薬膳料理店をオープンさせたのも、1日3食のうち、1食ぐらいは添加物を避けた食事を取るお手伝いをさせてもらいたいと思ったからです。

    若い時に死の宣告を受けたそうですね。

     33歳の時、子宮がんになりました。その時、妊娠5カ月。子供はすでに1人いましたが、どうしても産みたいと思い、手術するのを逡巡(しゅんじゅん)していたら、余命1カ月の宣告を受けたのです。

     その時の状況というのは、産めば、自分の命が失われるだけではありませんでした。たとえ子供が助かっても脳性麻痺になるかもしれなかったのです。

     そのことを知って、治療に専念することを決めました。ヘビやカメなどの血を飲み、抗がん剤の治療を受けながら、闘病生活を4年間続け、なんとか元気を取り戻すことができたのです。

     その時、病院の同じフロアに、俳優の石原裕次郎さんが入院していて、知り合いになりました。裕次郎さんが退院する時、「大丈夫だよ、治るから」と励ましてくださいましたが、その裕次郎さんが亡くなって残念です。

    日本は超高齢社会に突入しました。

     生存寿命が99歳でも、健康寿命が55歳で、あとは寝たきりとなるようなことは避けたいですね。そのためには、やはり毎日の食生活が大事。自分の“体内時計”に合わせ、朝昼晩きちっと食べて、添加物に打ち勝つ力を付けることに心掛けてほしい。そして、朝は王様の食事、昼は普通の食事、夜は質素な食事を心掛けています。

     生きる力は、多くの方にお世話になっているから生まれるのです。そのことに「ありがとう」と、感謝する心を忘れてはいけません。感謝しながら毎日を過ごし、ピンピンコロリンの人生でありたいですね。

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