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「小泉訪朝」から15年、圧力強化で拉致被害者帰国実現を

 北朝鮮を訪問した小泉純一郎首相(当時)との首脳会談で、金正日総書記(同)が日本人拉致を認めてから、きょうで15年が経過した。

 北朝鮮による6回目の核実験を受け、国連安全保障理事会では北への原油・石油精製品輸出に上限を設ける新たな制裁決議が採択された。日本は国際社会と協力して圧力を強め、核・ミサイル問題の解決とともに全ての拉致被害者の帰国を実現しなければならない。

 「小泉訪朝」から15年

 政府認定の拉致事件は、1977年に新潟市から拉致された横田めぐみさん=当時(13)=など12件17人。このほか、拉致された可能性を排除できない行方不明者が900人近くいる。小泉首相の2002年の訪朝と04年5月の再訪朝で、拉致被害者5人とその家族の帰国が実現したが、他の被害者はいまだに帰れないままだ。

拉致被害者

待ちわびた家族の出迎えを受け、政府チャーター機のタラップを下りる拉致被害者ら。タラップ下段左から中山恭子内閣官房参与、浜本富貴恵さん、地村保志さん、同中段左から奥土祐木子さん、蓮池薫さん、上段左から曽我ひとみさん、斎木昭隆外務省アジア大洋州局参事官。同機搭乗口は安倍晋三内閣官房副長官=2002年10月15日、羽田空港

 この15年間、北朝鮮の拉致問題に対する姿勢は不誠実極まりないものだった。めぐみさんのものとして別人の遺骨を提出したこともある。14年5月のストックホルム合意では拉致被害者らの再調査を約束したが、調査結果の報告を先延ばしし続けた上、核実験や弾道ミサイル発射などを受けて日本が新たな独自制裁を決定すると再調査の全面中止を宣言した。被害者家族の心をもてあそんでいるとしか思えない。

 被害者に何の落ち度があるというのだろうか。北朝鮮は対南工作に利用するために日本人を拉致したとされる。このような身勝手な理由で被害者や家族を苦しめることに激しい怒りを覚える。

 めぐみさんの拉致から今年で40年、拉致被害者家族連絡会(家族会)の結成から20年となった。家族の高齢化が進み、「もう待てない」という切実な声も上がっている。

 北朝鮮の核実験やミサイル発射にばかり注目が集まる現状は、家族にとって拉致問題への関心が低下しているように映る。政府はこうした家族の懸念を払拭(ふっしょく)しなければならない。

 安倍晋三首相は、拉致問題を「最重要課題」としている。今回の制裁決議の厳格な履行を国際社会に呼び掛け、核・ミサイル・拉致問題の包括的解決を一日も早く実現すべきだ。

 米国でも、大学生だった04年8月に中国で失踪したデービッド・スネドン氏に関して拉致の疑いが指摘されている。今年6月には、北朝鮮で約1年半拘束された後、昏睡状態で解放された米国人大学生オットー・ワームビア氏が死亡した。日米両国は拉致や人権侵害への怒りを共有し、北朝鮮への圧力を強める必要がある。

 そもそも拉致は北朝鮮による国家犯罪であり、本来であれば無条件で全ての被害者を帰国させなければならないはずだ。それができないのであれば、北朝鮮には未来がないと言わざるを得ない。

 工作活動摘発の体制を

 拉致のような北朝鮮の工作活動を摘発するための体制づくりも大きな課題だ。

 スパイ防止法の制定や本格的な防諜機関の創設などを検討する必要がある。

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