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北ミサイル、日本上空通過の常態化警戒を

 北朝鮮が再び日本上空を通過する弾道ミサイルを発射した。米国を威嚇する狙いだろうが、日本上空通過の常態化を警戒する必要がある。

グアムを射程に収める

 今回のミサイルは北海道上空を通過し、襟裳岬東方沖約2200㌔付近に落下した。被害は確認されていないが、例によって付近を航行する航空機や船舶の安全を無視した行為で危険極まりないものだ。このような挑発は決して許されない。

 北朝鮮が今月初めに強行した6回目の核実験を受け、国連安全保障理事会は新たな制裁決議を採択した。今回のミサイル発射は、これに抗議したものだと言える。

 飛行距離は過去最長の約3700㌔だった。8月末に発射し、やはり北海道上空を通過したミサイルよりも1000㌔伸びており、米軍基地のあるグアムも射程に収める。

 北朝鮮は先月、中距離弾道ミサイル「火星12」4発を島根、広島、高知3県の上空を通過させてグアム沖に打ち込む計画を公表した。グアムに届くミサイルの発射には、対話に応じようとしない米国を威嚇し、直接交渉に臨ませる思惑もあるに違いない。

 その意味で懸念されるのは、北朝鮮ミサイルの日本上空通過が常態化することだ。北朝鮮には、米国のレッドライン(譲れない一線)を探る狙いもあろう。ミサイル落下に備え、政府は3県と愛媛県に地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を配備しているが、厳重な警戒が求められる。

 日米をはじめとする国際社会は、制裁を厳格に履行する必要がある。今回の制裁決議では、北朝鮮への原油・石油精製品輸出に上限が設けられたほか、国外で働く北朝鮮労働者の受け入れも原則的に禁止した。

 制裁が実効性を確保できるか否かは、中国とロシアがカギを握る。中国は北朝鮮の石油の大半を供給し、ロシアは北朝鮮労働者を最も多く雇っている国だ。中露両国の影響力行使が北朝鮮の核・ミサイル問題の解決につながると言えよう。

 この制裁決議をめぐっては、米国が早期採択を優先させ、石油の全面禁輸の主張を取り下げた。北朝鮮の不安定化を懸念する中露に配慮したものだ。

 これに対し、トランプ米大統領はツイッターで「非常に小さい一歩」と不満を表明。ティラーソン米国務長官も「われわれは、はるかに強い決議を望んでいた」と語った。

 中国は北朝鮮の体制崩壊で米軍と直接対峙(たいじ)することを恐れているのだろう。だが安保理常任理事国の中国が、安保理決議違反である北朝鮮の核・ミサイル開発に実効性のある措置を取らないのは無責任だ。北朝鮮が今後も挑発をやめないのであれば、安保理は今度こそ石油の全面禁輸に踏み切るべきだ。

首相は包囲網構築を

 安倍晋三首相は来週、国連総会出席のため、米ニューヨークを訪れる。

 トランプ大統領、韓国の文在寅大統領との日米韓首脳会談も調整中だ。この機会を対北包囲網の構築に生かさなければならない。

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