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アフガン増派、国際的なテロ抑止につなげよ

 トランプ米大統領がアフガニスタンへの米軍増派を承認した。増派は4000人規模とみられ、現在駐留中の8400人に追加される。トランプ氏は「早期撤退」を強調してきた過去があるが、増派は対アフガン戦略の転換を意味する。

攻勢強めるタリバン

 米バージニア州の米軍基地で演説したトランプ氏は「早期の撤退は(2001年の)米同時テロのような状況を招く可能性がある」と指摘。オバマ前政権がイラクから米軍を撤退させたことで過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭を許したとし、「イラクの失敗を繰り返すわけにはいかない」と主張した。

 米国は世界の平和と安定で決定的な役割を担っている。その意味で、トランプ政権の方針転換を歓迎する。トランプ氏は「米国の目標は明確だ。米国に脅威となるテロリストに再び安住の地を与えてはならないということだ」と述べた。アフガンへの増派を国際的なテロの抑止につなげる必要がある。

 増派決定の背景にあるのは、これ以上看過できないアフガンでの治安悪化だ。アフガンでは反政府勢力タリバンが攻勢を強めており、アフガン政府の支配地域は6割程度に減少。タリバンが軍や警察の拠点内部に戦闘員を潜伏させ、大きな被害を与える攻撃が増えている。

 戦線は全34州のうち20州以上に広がった。軍が兵の補充を急ぐと、その中に敵が潜り込むという悪循環が続いている。その上、軍・警察内部の腐敗で前線に給料が届かず、タリバン側への武器の横流しや寝返りも横行しているという状況だ。

 オバマ前政権は一時は米軍撤退を公約にしていたが、それを断念し、約8400人を残した。マティス国防長官は6月、上院で「アフガンでわれわれは勝てていない。戦略を早急に見直したい」と語っていた。

 すでに米兵戦死者は2400人に上っている。空爆強化でタリバンの伸長を食い止めているのが現状だ。

 アフガン市民の反米感情も高まっている。米軍の誤爆などの巻き添えになって被害を受けたのは、今年上半期に死傷した市民5243人の約2割に上る。「侵略者は出て行け」という一般市民の呼び掛けはタリバンの訴えと重なるものがある。タリバンは「米軍が撤退するまで戦い抜く」と強調している。

 しかし米軍撤退はテロリストを増長させ、全世界的規模で広がりつつあるテロリストとの戦いで米軍が大きく後退することを意味する。この戦いでは、米国が勝敗の鍵を握っている。

 トランプ政権は対アフガン政策をめぐって分裂していた。今回増派を決めたのは、撤退派の中心だったバノン大統領首席戦略官・上級顧問が解任されたことで、増派を主張していた国防総省やマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)らが政権内で優位を獲得した結果によるものだろう。

米は安定へ一層の役割を

 米国と同盟を結ぶ日本としては、米国が国際的責任を重視することは自国の安全保障にとってプラスである。世界の安定のため、米国は一層の役割を果たすべきだ。

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