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北ミサイル、引き続き挑発への警戒を

 北朝鮮が短距離弾道ミサイルを発射した。米軍は日本海に向け約250㌔飛行したと分析している。現在行われている米韓合同軍事演習に対抗したものだが、米領グアム沖へのミサイル発射など米国を極度に刺激することは避けたようだ。

 しかし今後、北朝鮮がどのような出方をするか分からない。日米韓3カ国をはじめとする国際社会は、引き続き厳重に警戒する必要がある。

 米国への刺激を避ける

 北朝鮮は米韓演習に強く反発し、「超強硬措置で対応する」と警告。特に25日は、故金正日総書記が軍事優先の指導を始めた記念日「先軍節」であったため、日米韓当局は北朝鮮の挑発に備えて厳戒態勢を敷いていた。北朝鮮は昨年、先軍節前日に潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を実施している。

 また北朝鮮の戦略軍が、グアム島沖を狙った中距離弾道ミサイルの4発同時発射計画を公表していたことも懸念を強めていた。だが米国への過度の刺激は不測の事態を招きかねず得策ではないと判断し、短距離ミサイル発射にとどめたもようだ。先軍節を迎えたことで国威発揚を図りつつ、米国への刺激を回避する苦肉の策と言える。

 今回のミサイル発射を受け、菅義偉官房長官は「わが国の領域や排他的経済水域(EEZ)内に落下するという弾道ミサイルは確認されていない。わが国の安全保障に直接影響を与えるものではない」と述べた。

 しかし、油断は禁物だ。グアム島沖ではなくても、以前のように日本のEEZに落下するようなミサイル発射が今後行われないという保証はない。この場合、周辺を航行する航空機や船舶が被害を受ける恐れがある。また、日本の領土や領海にミサイルが落ちる可能性も否定できない。日本は、演習を行っている米韓両国と緊密に連携し、厳重な警戒を継続すべきだ。

 一方、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は軍の特殊作戦部隊に対して「軍はソウルを一気に占領し、南朝鮮(韓国)を平定する考えを持つべきだ」と訴えた。極めて危険な発言だ。

 特殊作戦部隊は、海上の南北軍事境界線に当たる北方限界線(NLL)に近い韓国・延坪島などの占領を想定した攻撃訓練を行ったもようだ。延坪島では2010年11月、北朝鮮による砲撃で民間人を含む4人が死亡した。

 安倍晋三首相は韓国の文在寅大統領との電話会談で、北朝鮮に結束して圧力を高める方針を確認した。日韓間には、いわゆる従軍慰安婦や戦時中に韓半島から労務動員された徴用工などの問題が横たわっている。だが今は、何よりも安全保障協力を優先させるべきだ。

 締め付けを強化せよ

 北朝鮮が挑発を強めていることを踏まえ、米政府は北朝鮮と取引のある中国やロシアの10団体と6個人を制裁指定。日本も中国やナミビアの企業などを含む6団体・2個人を資産凍結の対象とする追加の独自制裁を決定した。北朝鮮に対する締め付けを強化するとともに、対北圧力を高めるために実効性ある措置を取るよう中露両国に求め続ける必要がある。

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