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経済協力で北方領土4島は戻るのか

 ロシアのメドベージェフ首相が北方領土をロシアの経済特区「先行発展地域」に指定した。

 特区指定はロシアの制度が適用されることを意味する。不法占拠を正当化するものであり、到底容認できない。

 ロシアが特区に指定

 ロシアは特区制度の下、北方領土の色丹島に74億ルーブル(約136億円)を投じて水産加工工場を建設し、700人以上の雇用創出を計画している。特区に指定されると、進出企業は税制面などで優遇され、外国企業を誘致しやすくなる。

 昨年12月の日露首脳会談の合意を受け、両国政府は共同経済活動の交渉を進めている。しかし、日本が「日本の主権が損なわれない」方式を求めているのに対し、ロシアは自国の法制度化で早期に開発を進めたい考えで、特区の指定もこの方針に沿ったものだ。

 9月6、7日にロシア極東ウラジオストクで開かれる首脳会談では、共同経済活動の中で早期に実施する事業について合意を目指すこととなっているが、特区指定が合意の行方に影響を与えるのは必至だ。首脳会談前の今回の措置は、明らかに日本側への揺さぶりを狙ったものだと言えよう。

 ロシア側は今後、北方領土の他の島にも同様の特区を設置する可能性がある。北方領土は日本固有の領土であり、決して受け入れることはできない。

 日本は共同経済活動を、北方領土返還を含む平和条約締結交渉進展への「重要な一歩」と位置付けている。しかし、ロシアが真剣に取り組もうとしているようには見えない。

 日露間では経済協力のみが進んで領土問題が置き去りにされることが繰り返されてきた。仮に共同経済活動が実現したとしても、北方領土返還につながるかは疑問だ。

 ロシアのプーチン大統領は北方領土について「第2次大戦の結果、ロシアに主権がある」という見解を示している。メドベージェフ氏も大統領だった2010年に国後島を訪問、首相としても12年に同島、15年に択捉島を訪れ、譲歩しない姿勢を見せている。

 プーチン氏はアジア太平洋地域への関与を強化する方針を示しており、ロシアにとって太平洋への出入り口となる北方領土周辺の重要度は増している。17年版防衛白書は、ロシアが北方領土で地対艦ミサイルを配備するなど軍備増強を進めていることについて「昨今その活動をより活発化させている」と警鐘を鳴らした。

 今月には国後島や択捉島で軍事演習が行われたとみられている。こうした動きには、北東アジアでミサイル防衛(MD)システムの構築を進める米国のほか、海洋進出を強める中国を牽制(けんせい)する狙いもあるようだ。

 腰を据えて取り組め

 北方領土返還を実現させることは簡単ではない。しかし日本にとっては不当に奪われた領土であり、決して諦めてはならない。

 安倍晋三首相は焦らずに腰を据えて取り組む必要がある。領土返還に結び付かないようであれば、共同経済活動についての協議も中止すべきではないか。

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