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人民解放軍90年、一層の軍事力強化に警戒を

 中国人民解放軍は創設90周年を記念する閲兵式を内モンゴル自治区の演習場で実施した。軍トップの共産党中央軍事委員会主席を務める習近平国家主席は「われわれは世界一流の軍隊になる」と述べた。一層の軍事力強化を打ち出し、米国や日本などの周辺国・地域を牽制(けんせい)する狙いだろう。警戒が必要だ。

権力基盤固める習氏

 閲兵式には、陸海空軍の約1万2000人や最新鋭戦闘機J20を含む129の航空機を動員し、射程1万キロ以上で移動式の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)であるDF31AGも公開された。閲兵式に登場した装備の4割は初公開という。

 今回は、過去の閲兵式のような儀式色を排除。海外首脳や一般市民の招待もなかった。迷彩服姿の習氏は「永遠に党の話を聞き、党に付き従い、党が命じたら、どこでも攻めていかなければならない」と絶対の忠誠を要求した。

 解放軍は1927年8月1日の南昌(江西省)蜂起で、共産党が初めて武力蜂起したのを契機に発足した。中華人民共和国成立翌年の50年、チベットに進撃し、翌51年に進駐・占拠。59年に起きたチベット動乱では、10万人近いチベット人が犠牲になったとされる。62年にはインド、69年には旧ソ連との国境紛争、79年にはベトナムへの侵攻を行うなど周辺諸国との戦争を繰り返してきた。

 現在も、中印国境付近でインド軍と対峙(たいじ)を続け、南シナ海では人工島を軍事拠点化して東南アジア諸国や米国と対立している。中国は沖縄県・尖閣諸島の領有権を一方的に主張しており、日本も決して油断できない。

 今秋の共産党大会に向け、習氏は解放軍の掌握による権力基盤の強化を図っている。解放軍は「党の軍隊」であり、共産党独裁体制を支える存在だ。

 今回の閲兵式では、習氏に対する呼称として「主席」が使われた。過去の閲兵式では、部隊の指揮官などを指す「首長」だった。「主席」は先月の香港での閲兵式でも使われており、習氏を「絶対的な存在」と位置付ける狙いがあるとみていい。

 習氏は「中華民族の偉大な復興」を掲げ、解放軍の改革を主導してきた。防衛主体だった地域区分「7大軍区」を有事即応が可能な「5大戦区」に改編。陸軍主体で縦割りの弊害が指摘されていた中央軍事委の機構を再編し、陸海空軍とロケット軍の統合運用を担う「統合参謀部」などを新設した。習氏は「侵略してくるあらゆる敵を打ち負かし、国家の主権と安全を守る自信と能力がある」と述べ、改革の成果を強調した。

 閲兵式後に北京で開かれた記念式典で、習氏は「わずかな領土であっても、中国から分裂させることを許さない」と述べ、台湾独立志向を持つ民進党の蔡英文政権や香港の独立派を牽制。領土主権や海洋権益を断固として守る方針を強調した。軍の近代化が覇権拡大につながることが懸念される。

看過できない海外展開

 創設90年に合わせ、解放軍は初の海外軍事拠点としてアフリカ北東部のジブチに設けた「保障基地」の運用を始めた。着々と進む海外展開は看過できない。

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