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薬物乱用、防止教育に勝る対策なし

 きょう6月26日は国連決議による「国際麻薬乱用撲滅デー」。薬物乱用で今、最も懸念されるのは、危険性が高くないとの情報が流布する大麻(マリフアナ)だ。青少年がインターネットの情報などに惑わされて“魔の手”に落ちないようにするには、義務教育の段階から、その危険性を伝える教育を徹底的に行うことが大切だ。

 最も多かったのは大麻

 国連薬物犯罪事務所(UNODC)の報告書によると、2015年に乱用された薬物で最も多かったのは大麻で約1億8300万人、次いで覚醒剤約3700万人となっている。大麻乱用が拡大するのは「たばこよりも害が少ない」といった誤った情報が広がっているからだ。スマートフォンの普及で、その傾向に拍車が掛かっている。

 米国の州レベルでは大麻の合法化が加速している。昨年の大統領選挙と同時に行われた住民投票の結果、4州で嗜好(しこう)品として合法となった。すでに合法化されていた地域と合わせると、8州と首都ワシントンで解禁されたことになる。

 だが、大麻には幻覚作用があり、脳へのダメージは取り返しがつかなくなるほどだ。覚醒剤など、より危険度の高い薬物への入り口(ゲートウェイドラッグ)にもなっている。このため、米連邦法では依然として規制対象である。

 合法化の動きは米国以外にも出ている。日本の若者がそうした国に留学したり、旅行で訪れたりした場合、大麻の危険性を軽く考えて手を染める恐れがあるから注意が必要だ。

 合法化が広がる原因はもう一つある。米国では民主党のオバマ前政権下で同性婚の合法化や妊娠中絶の制限緩和が進んだことに見られたように、個人の欲望を追求する権利を重視する風潮が強まり、大麻合法化もその流れの中にある。日本でも昨秋、合法化を訴えていた芸能人が大麻取締法違反で逮捕され、今年4月に有罪判決を受けた。

 従って防止教育は、薬物乱用の背景に個人主義や快楽主義的な価値観があることを踏まえ、薬物に一度手を出せば、自分が一生苦しむだけでなく、家族も不幸にしてしまうことを伝えることが大切である。教育効果を高めるには、大人の言葉を素直に受け入れやすい小学生の段階から行うことがポイントだ。

 若者に人気のあるタレントによる薬物事件が続くが、それを報道するメディアにも注意を喚起しておきたい。薬物に関して興味本位の報道や間違った情報が流れると、メディアの影響を受けやすい若者が手を出す懸念があるのだ。近年、大麻を栽培したり、乱用したりした若者が摘発されるケースが増えていることと無関係ではないだろう。

 政府はもっと予算投入を

 わが国では薬物乱用撲滅のため、売人の摘発などの取り締まりの強化や、薬物犯罪者の矯正などに多くの予算が投入されている。しかし防止に勝る対策はないのだから、政府は防止教育にもっと予算を投入すべきである。親子の絆が弱くなったり、他人との交流が少なくなったりしている社会風潮も乱用の温床になるので、若者を孤立させない努力も忘れないでほしい。

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