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熊本地震1年、教訓風化させず復興果たそう

 熊本地震の発生から1年が経過した。建物倒壊などによる直接死は50人に上り、震災関連死は222人(13日時点)に及んだ。復興への歩みは進んでいるが、熊本本来の姿を取り戻せるよう復興を加速させたい。

震度7を2回連続し観測

熊本地震では14日に震度7、M(マグニチュード)6・5の前震が発生。これを本震と捉えた人が多かったが、2日後の16日未明に震度7、M7・3を記録。これが本震だった。

 連続した地震活動での震度7の2回観測は初めてで、被害を大きくさせた要因の一つとなった。地震への備え、意識は高いと思っていた日本人の意表を突くような地震であった。余震の規模や回数の多さも、これまでの地震にはないもので、経験則を単純に当てはめることや、楽観的な予断は禁物であることなど、この地震の教訓として残った。これらの教訓を風化させず復興を果たしたい。

 直接死のほとんどは建物倒壊による圧死だが、警視庁の調べでは、倒壊建物に閉じ込められた被災者のうち78%が1階居室にいたこと、また7割が60歳以上であったことが明らかとなっている。災害弱者としての高齢者対策は、今後も検討を深めなければならない課題である。

 避難住民は最大、18万3882人に達したが、855カ所あった避難所は昨年11月にゼロとなった。それでもなお、4万4600人が県内の仮設住宅で暮らしている。

 地震で通行止めとなった幹線道路の多くは再開したが、熊本市と阿蘇方面を結ぶ国道57号や熊本―大分間のJR豊肥線で一部区間の不通が続いている。

熊本地震の被害の大きさをまざまざと見せつけたのが、天下の名城として名高い熊本城の被害だった。天守閣の瓦が落ち、国の重要文化財に指定されている櫓(やぐら)は倒壊するなど全て破損。西南戦争の戦火にも耐えた石垣が50カ所で崩れた。熊本のシンボルであり市民の誇りであった、城の無惨な姿には、市民だけでなく国民の多くがショックを受けた。

 城全体の復旧には20年を要するとみられるが、市は2019年までに天守閣とその周辺を復旧させたいとしている。その本格的な復旧工事が始まりつつあるところだ。崩れた石垣を元に戻すなど極めて困難な作業で、全体の復旧費用は600億円を超えるとみられる。

 復興のシンボルとなった熊本城の再建に向け、日本財団は今年度から6年間で約30億円を助成する計画を発表した。同財団の助成は家屋損壊への見舞金などを含め総額約127億円に上っているが、熊本城復旧について、笹川陽平会長は、東日本大震災で「祭りの支援」が被災者の心の支えとなったことを指摘している。

復旧を発信し観光回復を

 経済活動では、大手企業の工場など生産はほぼ1年前の水準を回復しているが、気になるのは、阿蘇などの観光が苦戦していることだ。交通事情などはほぼ改善しているが、被災イメージを払拭(ふっしょく)しきれていないのが、客足を遠のかせている原因という。復旧と安全を積極的に発信し、観光客を再び呼び寄せたい。

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