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拉致家族会20年、待たれる全面解決の結果

 北朝鮮による日本人拉致事件を受け、被害者の家族と親族らによって「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(家族会)が結成されてから来月で20年が経過する。また今年は最初の事件発生から40年になる。メンバーの高齢化が進む中、政府認定の12人をはじめ被害者全員の帰国は依然として見通しが立たないままだ。全面解決へもはや一刻の猶予も許されないことを改めて強調したい。

 「見返り提示」に転換

 このほど家族会は運動の新方針として年内解決と北朝鮮への「見返り提示」を打ち出した。見返りの中身は日本が北朝鮮に科している経済制裁の解除などが含まれる。家族会は近年、制裁強化こそが北朝鮮を動かす有効な手段だと訴えてきたことからすると事実上の方針転換だ。

 背景には、被害者らが北朝鮮の地で精神的に限界に達している可能性の高いことや帰国を待ち続ける家族の高齢化がある。解決の突破口を開きたいという切実な思いが伝わってくる。

 家族会が結成されたのは初期被害者の一人、横田めぐみさんが拉致されてから20年後のことだった。それまで拉致は憶測の域を出ず、被害者家族は孤独な活動を強いられた。

 家族会結成の直後、日本政府はようやく北朝鮮による拉致被害を公式に認めた。そして被害者救出に向け最初に大きく動いたのが小泉純一郎首相の2度にわたる訪朝だった。金正日総書記は拉致の事実を認め、蓮池薫さんら5人の被害者とその子供たちが日本の地を踏んだ。

 2014年にも被害者再調査などを北朝鮮側が約束したストックホルム合意で拉致問題解決への機運が高まった。これを受けた日朝政府間交渉に家族会は大きな期待を掛けたが、北朝鮮は不誠実な対応に終始し、揚げ句の果てに一方的に合意破棄を宣言した。

 家族会としては北朝鮮はもとより解決を約束した日本政府に対する失望も大きかった。北朝鮮が被害者全員の帰国に応じざるを得ないよう、対話と圧力、行動対行動の原則で臨んだはずだったが、最終的に北朝鮮に煙に巻かれる格好となった。日本が北朝鮮を揺さぶるくらいの覚悟で臨まない限り、今後も同じ失敗を繰り返す恐れがある。

 全面解決に不可欠なのは、北朝鮮の最高指導者、金正恩朝鮮労働党委員長が拉致被害者を日本に帰国させると決断することだ。そこが曖昧だと北朝鮮との交渉は茶番に終わる可能性が高いと思わなければならない。

 安倍晋三首相は拉致問題解決を最優先課題に掲げている。小泉訪朝に同行するなど拉致問題への個人的な思い入れもあろう。家族会には安倍政権の間に全面解決を図りたいという強い願いが感じられる。20年の間、さまざまな試みや交渉がなされ、その行方に一喜一憂してきたが、今、家族会が待ち望んでいるのは全面解決という結果だ。

 国際連帯の力も重要

 北朝鮮の関心が米国との直接交渉に向いているのも事実だ。トランプ米大統領に日本人拉致問題への理解を深めてもらい、米国をはじめ国際社会との連帯の力で北朝鮮を動かすことも重要だ。

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