ワシントン・タイムズ・ジャパン

米大統領選、討論会の意義を再確認せよ

 米大統領選が来月8日の投票日まであと1カ月と迫る中、中西部ミズーリ州セントルイスのワシントン大で2回目のテレビ討論会が行われた。共和党候補ドナルド・トランプ氏の巻き返しが見られたが、CNNの調査によると、先月末に行われた1回目より差が縮まったものの、討論会視聴者の57%が民主党候補ヒラリー・クリントン前国務長官、34%がトランプ氏に軍配を上げた。

両候補とも資質に疑問符

 今回は前回の直接対決方式ではなく、2人の司会者からの質問のほかに、態度を決定していない有権者から質問を受け付ける「タウンミーティング」方式で行われた。支持率が下降傾向にあるトランプ氏が事態打開の糸口をつかめるかが一つの焦点とされた。

 クリントン氏は1回目のテレビ討論会の結果、トランプ氏との資質の違いを印象付け、勢いを取り戻した。一方、トランプ氏は十分な準備がなかったことが明らかだった。

 2回目の討論会は、クリントン氏が今の米国はよい国であり、トランプ氏が米国を再びよい国にするという従来の立場に立った政策論議が繰り広げられた。両候補の支持基盤を確実にする上では、それなりの効果があったと言える。だが、討論会を通じて支持を決める有権者にとって、判断に影響を与えるようなやりとりは少なかった。

 この中で、トランプ氏はかつて「有名人になれば女性は何でもしてくれる」などと女性を蔑視するような発言をしたことについて「謝罪する」と述べる一方、クリントン元大統領の不倫問題を持ち出し、「自分は言葉だけだが、クリントン元大統領は行動で女性を傷付けた」と女性への虐待(ぎゃくたい)を強調した。

 クリントン氏が国務長官時代に公務で私用メールを使用していた問題も追及し、自らが大統領に就任すれば「クリントン氏は刑務所に入ることになる」と牽制(けんせい)した。

 クリントン氏は、トランプ氏が女性を見下すだけでなく中南米系やイスラム教徒、障害者らも標的にしてきたと指摘、「彼は大統領にも最高司令官にもふさわしくない」と強調した。トランプ氏は「私は米国人全員の大統領になる」と述べたが、確かに両候補とも大統領の資質に関しては合格点を付けるには遠いものがあった討論会であった。

 2回の討論を顧みて、候補者は有権者を引き付けるために大げさなことを言い続けているとの疑念を拭いきれない。テレビ中継を意識し過ぎた候補者同士が非難の応酬をするのも耳障りだ。米メディアが最も見苦しい討論会と酷評したのもむべなるかなである。

 大統領に当選したならば具体的にどのような政策を実行するのか、自信をもって明確に説明する必要がある。両候補とも、戦後最も嫌われている大統領候補であると評される。

誹謗中傷の場ではない

 19日にはネバダ州ラスベガスのネバダ大で3回目の討論会が開かれる。今からでも遅くはない。アメリカが抱えている課題について議論を深めてほしい。討論会は誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)の場であってはならない。

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