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米大統領選、世界をリードする構想見えぬ

 2016年米大統領選の最大のヤマ場となる民主党候補ヒラリー・クリントン氏と共和党候補ドナルド・トランプ氏の第1回テレビ討論会が、ニューヨーク州内の大学で開かれた。両候補の初めての直接対決である。

 両候補が初の直接対決

 目下、両候補は各種世論調査で接戦を演じており、今回を含む3回にわたる討論会が、11月8日に投開票が行われる大統領選の勝敗のカギを握るものとして注目を集めていた。両候補は「米国の針路」「繁栄の達成」「米国の安全確保」をテーマに白熱した議論を展開した。

 クリントン氏は政策論争に打って出る一方、トランプ氏への攻撃で失言を誘う戦略に出た。「私は大統領になるための準備をしてきた」とも述べた。トランプ氏は大統領候補らしく振る舞う努力の中、自分なりの政策論を語った。普段からの罵詈(ばり)雑言を抑えつつも、私用メール問題などクリントン氏の弱点を突いた。

 ただ、トランプ氏が確定申告書を公開していない問題をクリントン氏が取り上げたことをきっかけに、トランプ氏は防戦に追われ、クリントン氏の財団に絡む便宜供与疑惑やリビア・ベンガジ米領事館襲撃事件には全く言及しなかった。

 討論終了後、視聴者から見てトランプ氏の準備不足が明らかになった。一方、クリントン氏は世論調査で「討論に勝利した」とする回答が6割を超えたとはいえ、経験不足の相手を大きくリードすることには失敗したとのイメージを与えた。さらには、両候補とも政策支持に向けた説得力が足りず、同時に超大国米国の大統領候補として世界を率いるに足るビジョンが無いとの疑念が残った。

 この点は国内のみならず、国際社会の偽らざる反応とみるべきである。今回は誰に投票するかの判断材料には乏しく、今後の討論会が多くの有権者に影響を与えることになろう。

 近年の大統領選では、アジアとの関係で中国への言及があっても日本へはない討論会が目立っていた。今回は両候補から日米関係への言及があった。

 トランプ氏は「日本のせいでわれわれは巨額の資金を失った。米国は世界の警察官になることはできない。必要な負担を求める」「何百万台も車を売っている経済大国の日本を守ることはできない」と従来の持論を展開した。日米の信頼関係を損なうような発言は残念だ。

 日米同盟は日本のみならず、アジア太平洋地域の平和と安定にとって不可欠である。また、在日米軍基地は米軍の前方展開拠点として米国の世界戦略を支えている。日米同盟は米国の国益にも資するはずだ。

 トランプ氏が、こうした同盟の意義を理解しているのか懸念が残る。一方、クリントン氏が「日本や韓国や他の相互防衛協力を結んでいる国々との同盟を再確認し、高く評価したい」と言明したことは歓迎される。

 日米の防衛協力も論じよ

 いずれが大統領になるにせよ、日米同盟は日本外交の基軸である。次の討論では、中国や北朝鮮に対する日米の防衛協力についても議論が進むことが望まれる。

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