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トランプ氏指名、党内融和が求められる共和党

 米共和党全国大会で、大統領候補に不動産王のドナルド・トランプ氏、副大統領候補にインディアナ州知事のマイク・ペンス氏が正式に指名された。

 過激な発言繰り返す

 党大会最終日の夜、トランプ氏は受諾演説を行った。「われわれの政策はグローバル主義ではなく国の安定、繁栄、平和を目指す米国主義だ」と述べ、国益を最優先にする姿勢を鮮明にするとともに、オバマ政権で国務長官を務めた対立候補のヒラリー・クリントン氏を「死と破壊とテロと弱さを残した」と強い口調で非難した。

 トランプ氏は不動産、娯楽産業などで財を成した実業家で、政治とは全く無縁のワシントン・アウトサイダーだ。しかも支持政党を6回も変えている。

 これまでの例では、とても大統領候補になれそうにない人物と言えるが、批判を物ともせず、強硬な態度で過激な発言を連発する姿は、既存の政治家にない、強いリーダーシップを求める米国民の感情を刺激している。これがトランプ氏躍進の大きな原動力になっている。

 これまでの選挙戦でも、メキシコ系移民は強姦犯、不法移民流入を防ぐためメキシコとの国境に巨大な壁を築く、イスラム教徒は入国禁止、米国はこれまで自由貿易協定で何も得していない、など相手を侮辱する暴言を繰り返してきた。

 日本に関しても「日本からは数百万台の自動車が来るのに、米国はほとんど売っていない」と述べた。また「米国が攻撃されても、日本は助ける義務はない。日米安保条約は不公平だ」として、日本の“安保ただ乗り論”を強調する。

 一方、副大統領候補のペンス氏は弁護士出身で連邦下院議員を6期12年務め、2013年1月からインディアナ州知事を務める行政経験豊かな人物だ。ワシントン政官界のインサイダーで、選挙権取得以来一貫して共和党を支持する。

 ペンス氏は極めて保守的な政治家で、妊娠中絶や同性婚に反対する社会保守派だ。保守派の支持基盤である福音派の熱心な信者であり、トランプ氏の弱点を補うに十分な人物である。トランプ氏に対して懐疑的な見方をしている党主流派との調整役を担う。

 ただ、ペンス氏は環太平洋連携協定(TPP)推進派とされ、トランプ氏が提唱したイスラム教徒の入国禁止について憲法違反と断じたことがある。イラク戦争をめぐっても、ペンス氏は下院議員時代、対イラク武力行使容認決議に賛成票を投じた。トランプ氏との立場の違いを今後、厳しく追及されることになる。不一致を抱えたままの2人の船出である。

 異例の支持表明なし

 トランプ氏と指名獲得を争ったテッド・クルーズ上院議員は、党大会で「トランプ氏を祝福する」と述べたものの、支持表明をしないまま演説を終了した。極めて異例な事態であり、党内融和の難しさを露呈した。

 党大会では、共和党主流派とのすり合わせがあったとみられ、トランプ氏の発言にトーンダウンがうかがえた。だが、大統領選で勝利するには、党内融和こそが必要なのである。

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