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NHKはなぜ台湾人を侮辱したのか

 戦前の日本の台湾統治に関するNHKの番組で名誉を傷つけられたとして、台湾の先住民族の女性らが損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は名誉毀損を認め、NHKに100万円の賠償を命じた。

 台湾人は極めて親日的だ。その台湾人を侮辱するような番組を何故放送したのか、NHKは改めて検証すべきだ。

「人間動物園」と表現

 問題とされたのは2009年4月放送のNHKスペシャル「アジアの“一等国”」。当時を体験した台湾住民の証言を基に、植民地支配の時代を描いた番組である。

 しかし、「日本の台湾統治が悪で、日本人は加害者」というトーンで一貫しており、台湾人の多様な意見を無視した「偏向番組」との批判が放送直後からあった。

 特に、1910年にロンドンで開催された日英博覧会で、日本側が女性の父親を含む台湾の先住民族パイワン族24人を民族衣装を着せて紹介したことを、NHKは「人間動物園だった」と放送。このことは「パイワン族は誇りを持って参加したが、それをNHKは辱めた」とパイワン族の怒りを呼んだ。

 須藤典明裁判長は「人間動物園という言葉には、深刻な人種差別的意味合いがある」と指摘。「パイワン族が野蛮で劣った植民地の人間で、動物と同じように展示されたと放送した」として、NHKによる名誉毀損を認定した。当然の判決だと言えよう。

 台湾人は親日的だ。この番組が放送された後のことだが、東日本大震災が発生した際、台湾からは官民合わせて約200億円の義援金が寄せられた。国際社会の中で最高額の数字だ。

 ところが昨年3月の政府主催の東日本大震災追悼式で、当時の民主党政権は参列した台湾の代表の席を、国や国際機関代表のための1階席ではなく、企業・団体関係者と同じ2階席に設けた。あまりにも礼を失した扱いだ。

 さすがに今年の式典ではこのようなことはなかったが、台湾の指名献花に反発した中国が欠席した。しかし中国に配慮して、台湾を軽んじるようなことは許されない。

 NHKでは他の番組でも偏りが見受けられる。「家族とは? 親子とは? 揺らぐ法制度」をテーマに放送したNHK「クローズアップ現代」(9月30日放送)では、事実婚やシングルマザーが増加していることを「家族の多様化」と表現した。

 シングルマザーの中には、夫と死別した気の毒なケースもあるが、未婚の出産や、妻子ある男性との不倫で出産した女性も少なくない。こうした表現は、家族崩壊を煽(あお)りかねない。

 また、朝の情報番組で性の問題を扱うなど、良識ある視聴者から批判を受けるような番組作りも行っている。見直す必要があるのではないか。

 公共放送の原点に返れ

 NHKは“民放化”に力を入れてきた。しかし、公共放送として公正さが求められることに変わりはない。

 今回の判決を機に、公共放送としての原点に立ち返った番組作りを求めたい。

(12月3日付社説)

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