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オバマ氏ベトナム訪問、米は武器禁輸の全面解除を

 オバマ米大統領は主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)出席のための訪日に先立ち、初めてベトナムを訪問する。米政府はベトナムに対し、武器の輸出規制を完全に解除することを検討しているが、南シナ海で軍事拠点化を進める中国を牽制(けんせい)する上でも実現すべきだ。

 中国が一方的な現状変更

 1975年のベトナム戦争終結以降、ベトナムを訪問する米大統領は2000年のクリントン氏と06年のジョージ・W・ブッシュ氏以来3人目となる。この間、両国の関係強化は進み、ベトナムは今年2月に署名された環太平洋連携協定(TPP)にも参加している。

 今回オバマ大統領はベトナムの政府高官との会談を通して、2国間の経済、人的交流、防衛政策、地域情勢、人権などの幅広い分野に関する話し合いを行う。米国は14年に武器禁輸措置を一部解除したが、中国との間に南シナ海の領有権問題を抱えているベトナムは軍事力を強化したいと考えている。

 これまで米国は30年にわたり対ベトナム武器禁輸措置を講じてきた。ベトナム共産党政権は国内で人権問題を抱えているため、今回のオバマ大統領の訪問時に全面解除までいくかどうかは分からないが、いずれにせよ中国に強いメッセージを送ることになる。

 中国はベトナムと領有権を争う南シナ海の西沙(英語名パラセル)諸島に地対空ミサイルやレーダー施設を設定していることが2月に発覚した。武器禁輸措置の全面解除への動きは、中国による一方的な現状変更を苦々しく思う米越両国の思惑が一致したものだと言える。

 ベトナム最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長は昨年7月、ベトナム戦争後の同国トップとして初めて米国を訪問し、オバマ大統領と会談した。武器禁輸措置の全面解除が実現すれば、21年前に始まった両国の関係正常化がさらに進むことになる。

 米国防総省が公表した中国の軍事動向に関する年次報告書によると、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で中国が埋め立てた面積は、15年末までに約13平方㌔に達した。東京ドーム約280個分の広さに相当し、14年末と比べて6倍超となった。とりわけ、ファイアリクロス(中国名・永暑)礁を含む三つの人工島には長さ約3000㍍の滑走路などがそれぞれ整備されているという。

 報告書は、中国は埋め立て地を南シナ海での長期的なプレゼンス強化の拠点として利用できると指摘。また、中国が昨年、自国の海洋権益を追求する中での緊張激化を許容する意向を示したことに言及し、複数の国が領有権を主張する南シナ海で強引なやり方で緊張を高めていると改めて警戒感を示した。

 不安材料を取り除け

 ベトナム戦争を戦った米国のかつての敵は今や、アジアで中国を牽制する重要なパートナーとなろうとしている。米国が今後ベトナムとの軍事的関係を強化し、力を増している中国の存在によって発生したさまざまな不安材料を取り除くことになれば、東南アジア諸国の信頼を増すことになる。

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