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熊本地震1ヵ月、一日も早い避難生活解消を

 熊本地震の発生から1カ月が過ぎた。避難者は依然1万人を超え、車の中で寝泊まりする人も多い。住まいの確保を急ぎ、一日も早く避難生活を終わらせるべきだ。

車で寝泊まりする人も

 地震による直接の死者は49人で、熊本県南阿蘇村では大学生1人が行方不明となっている。このほか、震災関連死とみられるケースが19人に上る。この中には車中泊との関連が指摘されるケースもあり、エコノミークラス症候群で入院が必要と診断された患者は50人に達する。

 車中泊が増えた要因の一つは、一部の指定避難所が損傷して使用不能となったことだ。熊本県益城町では指定避難所16カ所のうち8カ所が損傷。2000人収容の総合体育館は、メーンアリーナなどが天井崩落で使えなくなった。

 もう一つは、余震を恐れて自宅に戻るのを避けた人が多かったことだ。4月14日夜以来、震度1以上の地震は1400回以上起きている。実際、14日の「前震」で避難し、その後帰宅した際に16日の「本震」の犠牲となった人もいる。さらに、家族に小さな子供や障害者がいるため、プライバシーが守れない点や周囲への迷惑を考慮し、車中泊を選んだケースも多い。

 障害者や高齢者ら災害弱者に関して、熊本市は自治体と協定を結んだ老人ホームなどに設置される「福祉避難所」への受け入れ人数を約1700人と想定していた。だが周知不足でその存在が知られず、必要とする人に情報が届いていなかった。

 避難所に入らない車中泊の避難者の状況は、行政が把握しづらい。他の自治体にとっても、車中泊の避難者の健康維持などは今後の防災対策における課題だと言えよう。

 もちろん、避難者にとって大きなストレスとなるのは車中泊も避難所生活も同じだ。早急に住まいを確保する必要がある。

 今回の地震では、約8万600棟の住宅が被害を受けた。建築士らが暫定的な被災程度を判断する「応急危険度判定」では、熊本県内で約1万4900棟が危険とされた。仮設住宅の建設は始まったばかりだ。現在のところ着工したのは約1000戸で、完成は早くても6月中旬となる。

 熊本県は民間の賃貸住宅を借り上げる「みなし仮設」や、県営住宅の無償提供なども進めている。しかし、入居の前提となる罹災(りさい)証明書の発行は遅れている。自治体職員が避難所運営で忙殺され、証明書の発行業務まで手が回らなかったり、余震が続くため職員の安全を考えて調査を控えたりしたためだ。入居を進めるには、柔軟な対応が求められよう。

国の強力な支援が必要

 政府は熊本地震を「非常災害」に指定した。被災した地方自治体が管理する道路や河川などの復旧工事を国が代行できるようになる。復旧・復興に向けた総額7780億円の2016年度補正予算案も17日に成立する予定だ。

 復興の主体は被災した住民と地元自治体だが、国の強力な支援も求められる。支援には、地元の要望を十分に反映させる必要がある。

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