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テロ対策、情報収集力の向上が不可欠だ

 過激派組織「イスラム国」(IS)などの台頭で、テロの脅威が世界的に高まっている。テロ封じ込めに向け国際連携を強化するとともに、日本では情報収集力の向上が欠かせない。

核物質使用の可能性も

 今月下旬の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)では、テロ対策が主要議題の一つとなる。議長を務める安倍晋三首相は議論を主導し、先進7カ国(G7)の結束を示す必要がある。

 昨年11月のパリ同時テロや今年3月のベルギー同時テロは記憶に新しい。パリでは130人、ベルギーの首都ブリュッセルでは35人の死者を出した。どのような理由があったとしても、無辜(むこ)の市民を標的にした卑劣な行為は決して許されない。

 安倍首相は訪問先のフランスでオランド大統領と会談し、サミットで「テロ対策行動計画」を策定する方針を説明。ベルギーでのミシェル首相との会談では、テロ対策に関する2国間協議の年内開始で一致した。こうした国際連携をテロ根絶につなげることが求められる。

 テロには核物質が使われる恐れもある。ブリュッセルのテロでは、容疑者グループが放射性物質を爆弾に混ぜた「汚い爆弾(ダーティボム)」の製造を計画していたとされている。3月の核安全保障サミットでは、核テロ阻止を「永続的な優先課題」とする共同コミュニケを採択したが、国際社会は防止に全力を挙げなければならない。

 日本でも、サミットそのものがテロの標的となる可能性がある。警備の強化はもちろん、入国審査の厳格化の徹底や国内外での情報収集の増強に万全を期す必要がある。

 ただサミットを無事に終えたとしても、それでテロの脅威がなくなるわけではない。2020年には東京五輪・パラリンピックも開かれる。大規模なスポーツ大会はテロの標的になりやすい。テロ対策を不断に強化することが欠かせない。

 政府は昨年12月、省庁横断でテロ関連情報の収集や分析に当たる「国際テロ情報収集ユニット」を設けた。東南アジア、南アジア、中東、北・西アフリカの4地域をそれぞれ統括する審議官級を東京に配置し、在外公館に担当地域の言語や情勢に精通した人材を駐在させるものだ。

 また警察庁は先月末、インターネット上に公開される国際テロやサイバー攻撃についての情報を体系的に収集・分析する「インターネット・オシントセンター」を発足させた。このようにテロ関連の情報収集力を高めていくことが重要だ。

 このほか、テロ対策には共謀罪の創設が求められる。テロなどの謀議に加わっただけで実行に至らなくても処罰対象とすることができる。

 過去に関連法案が野党の反対で廃案となったが、国連の国際組織犯罪防止条約は共謀罪の創設を求めている。日本が国際的なテロ包囲網の弱点となってはならない。

本格的な情報機関設立を

 将来的には「国際テロ情報収集ユニット」にとどまらず、本格的な情報機関を設立することも欠かせない。要員育成の在り方も含め、今から検討していく必要がある。

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