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「ひとみ」運用断念、原因究明し今後に生かせ

 打ち上げ後、不具合が発生し通信が途絶えていたX線天文衛星「ひとみ」について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は運用の断念を決めた。今後は異常に至った原因究明に専念するという。

 「すざく」の後継機として、性能を格段に向上させ、“熱い宇宙”の実態に迫ると期待されていただけに実に残念な結果と言わざる得ない。失敗は付きものとは言え、原因を徹底的に究明し、教訓として今後の開発に生かしてもらいたい。

 異常な回転で本体が分離

 ひとみは2月17日の打ち上げ後、運用に向けた調整を続けていたが、3月26日に不具合が発生。異常な回転により本体が数体に分離し、通信が途絶える事態に陥っていた。

 JAXAは理事長を本部長とする対策本部を設置し、不具合の全容解明と衛星の状態把握、機能回復に努めてきた。これまでの検討の結果、次の二つの結論に至ったという。

 一つは、推定した物体分離のメカニズムについて、シミュレーションを含めた解析結果がほぼ確定し、回転に対し構造的に弱い太陽電池パネルが両翼とも根元から分離した可能性が高いこと。

 もう一つは、衛星が数体に分離した後も電波を受信できていたことから通信の復旧の可能性があると考えられたが、得られた電波は周波数の関係から、ひとみではなく他の衛星のものと判断されたこと。

 さらに、米国をはじめ複数の機関から太陽電池パネルの分離を示唆する情報を得たこともあり、今後ひとみが機能回復することは期待できない状態にあると判断したという。分離した11物体のうち、既に1体は4月20日に大気圏に再突入した。

 ひとみは、すざくの感度を最大100倍まで高めた高性能の観測機器を搭載。ブラックホールや超新星残骸、銀河団などX線やガンマ線を放射する高温、高エネルギーの天体の研究を通じ、宇宙の成り立ちの謎に迫る衛星だった。

 開発費は約310億円。開発は米航空宇宙局(NASA)などとの大規模な国際協力で行われ、国際的な宇宙天文台としての期待は大きかった。それだけに、運用断念は実に残念な結果である。

 ひとみの異常は、活動銀河核の観測のために姿勢変更運用を終えてから始まったという。

 これまでの検討やシミュレーションの結果などから、実際には衛星が回転していないにもかかわらず、姿勢制御系が回転していると自己判断し、その回転を止めようとする向きに回転させるという姿勢異常が発生したとみられる。また、そうした異常な姿勢のため異常を正そうとするメカニズムが制御プログラムの誤りもあって機能せず、逆に回転を加速する作用が働いたことが分かっている。

 ハード、ソフト両面から

 JAXAは原因究明に専念するとしているが、こうした姿勢制御メカニズムの在り方や異常があった場合の修正の方法、運用面でのプログラムや組織体制などハード、ソフト両面から問題点の究明に徹底的に取り組んでもらいたい。

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