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米テロ対策、国民の過激思想感化を防げ

 オバマ米大統領は国民向けのテレビ演説で、米カリフォルニア州での銃乱射事件を「テロ行為」と断定するとともに「テロの脅威が新段階に入った」と述べた。

 さらに、インターネットを通じて海外の若者たちをテロに駆り立てる過激派組織「イスラム国(IS)」を壊滅させる決意を強調した。

 「ホームグロウン」の脅威

 今回のテロは、2001年9月11日の同時多発テロのように米国の国外から実行犯が入り込んだのではなく、犯人が米国で生まれ育ったいわゆる「ホームグロウン(国産)テロ」であった。従って、これまでのように入国審査を厳しくするなど水際対策を強化するだけでは不十分だ。若者たちが過激思想に感化されないような国内対策が必要であろう。

 一方、オバマ大統領は「イスラム教徒に対する差別や偏見をなくそう」と呼び掛けた。事件を起こした犯人はイスラム教徒であったが、「テロとの戦い」が「イスラム教との戦い」になってはならない。

 テロを憎み恐れるあまり、一般のイスラム教徒に対する不当な差別や偏見が助長され、それがイスラム系移民の排斥につながれば、テロリストの思うつぼである。新たなテロを誘発することにもなりかねない。

 米国内でホームグロウンテロが生じたことによって、オバマ政権は一層のテロ防止策拡充を迫られることになった。同時多発テロ以降の米国で最悪のテロとなった今回の銃乱射を受け、オバマ大統領は米国内でのテロリストの攻撃能力を削(そ)ぐため、対IS戦略を強化していくと強調した。

 さらにテロの脅威を後退させるため、テロリストとして搭乗拒否リストに載っている人物への銃器の販売禁止法案に賛同するよう議会に求めた。しかし「セルフディフェンス」(自分で自分自身を守る)という個人の武装は米国民の基本的権利であり、これを侵しかねない同法案には抵抗が強く、議会で可決される可能性は低い。

 新大陸に新天地を求めた欧州からの移民がつくり上げた米国では、銃が自由の象徴ともなっている。それよりも、ホームグロウンテロがどうして生まれたか、その社会的背景にメスを入れ、対策を打ち出す方が先決であろう。

 米国ではビザ免除プログラムによって欧州やアジアを中心とした38カ国の人たちがビザなしでの入国を認められているが、オバマ大統領はプログラム変更を承認するよう議会に求めた。変更が実現すれば、テロの温床とされる国々を訪問した人たちへの審査がプログラムに追加されることになる。

 地道なPRで啓発を

 このような措置とともに、ホームグロウンテロを防ぐのに基本的に必要なのは、国民が過激な思想に感化されないための対策だ。

 米国では事件前から、若者の間にソーシャルメディアを通じて海外の過激思想に染まる者が増えているという。銃規制強化よりも、地道なPR活動などを通じて国民の啓発に努めることが不可欠だ。
(12月11日付社説)

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