ワシントン・タイムズ・ジャパン

MRJ初飛行、世界へ羽ばたく大きな一歩

 国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」が初飛行に成功した。2008年の開発着手から7年、5度の延期を経ての初飛行で、日本の長年の悲願だった実用化へ大きな一歩を踏み出した。

 MRJは今後日米での計2500時間の飛行試験、商業飛行の前提となる「型式証明」取得の後、17年4~6月に全日空への初号機納入を目指す。日本の、そして世界の大空で一日も早く羽ばたく姿が見たい。

50年ぶりの国産旅客機

 MRJは1960年代に開発されたプロペラ機「YS11」以来、約50年ぶりの国産旅客機。

 日本の航空機産業は戦前は「ゼロ戦」や「隼」など軍用機を中心に盛んで、メーカーの技術はトップクラスだった。しかし敗戦後、連合国軍総司令部(GHQ)によって、サンフランシスコ講和条約が発効する1952年まで、航空機の開発・製造はもとより研究することさえ禁じられた。

 「空白の7年」と呼ばれるこの期間に世界の旅客機開発は進み、日本は欧米勢に大きな後れを取る。航空機製造の解禁後、国家プロジェクトとして戦後初の国産旅客機YS11の開発が本格化、初飛行に成功したのが62年で、これ以来なのである。

 日本は、欧米の航空機大手に部品を供給する中で技術を磨いてきた。約100万点の部品が使われているというMRJの実用化は、こうした欧米の実質的な下請けから脱却し、日本の航空機産業が発展することにもつながる。裾野の広さから、自動車に次ぐ一大産業を形成する可能性を秘めているのである。

 MRJが属する座席数70~100の小型旅客機市場は現在、ブラジルのエンブラエルとカナダのボンバルディアの2強が先行。その中でMRJはこれまでに全日空をはじめ米国やミャンマーの航空会社から計407機を受注した。

 開発する三菱重工業と子会社の三菱航空機は、経済性や広く感じる客室空間、騒音を抑え環境に配慮した次世代エンジンなどをセールスポイントに、今後20年で見込まれる5200機の小型旅客機需要のうち、半分の約2500機を受注したいとしている。

 MRJは17年4~6月に全日空へ初号機納入の予定だが、これまでに主翼の素材変更や開発手順の見直しなどで計5回、初飛行が延期されている。このため、日米での飛行試験、型式証明の取得など今後のスケジュールがタイトになっている。

 小型機は近距離路線に使われ、欧米のほか、島の多いインドネシアなど東南アジアでの引き合いが期待できる。新興国へのセールスでは、機体の性能だけでなく、資金力に乏しい航空会社が機体を調達するためのリースや融資の仕組みの提案がカギを握るという。

実用化への歩みを着実に

 YS11は182機製造され、米国やブラジルなど7カ国に輸出されたが、独自の販売網を持たず、販売後のアフターケアなどメンテナンス体制の不備から赤字が続き、73年に生産終了に追い込まれた。MRJはYS11の経験を教訓に、実用化に向けた歩みを着実に進めてほしい。

(11月14日づ社説)

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