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被害最小化へ実効ある温暖化対策を

 政府は地球温暖化によって生じる被害の軽減に向けた対策をまとめた「適応計画」案を公表した。温暖化の影響による洪水といった自然災害や農業被害などへの対応を明記したものだ。

 適応策は、温室効果ガス削減と共に温暖化対策の両輪と位置付けられる。被害最小化に向け、実効性ある対策を講じることが求められる。

洪水などへの対応明記

 海外では英国やフランス、中国などが既に同様の計画を策定している。政府は11月下旬に計画案を閣議決定し、年末にパリで開かれる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で各国に説明する。

 計画案では、温暖化の進行で洪水を起こし得る大雨が増えると予測。雨量の観測強化やITによる河川や下水道の監視体制整備、人口の多い住宅地での堤防整備などに取り組む。また、ハード面で対応し切れない豪雨などに備え、住民の避難体制を事前に整えておく方針などを示した。

 先月も豪雨による鬼怒川の堤防決壊で茨城県常総市の市街地が冠水するなど大きな被害が出た。一昨年は伊豆大島、昨年は広島で土石流災害が発生している。適応策の推進は喫緊の課題だと言えよう。

 熱中症対策も重要だ。計画案では、予防策の普及啓発に努めるとともに、農家の被害を減らすため農作業用ロボットなどを積極的に導入。デング熱など感染症を媒介する蚊の駆除などの対策も強化するとしている。

 農業分野では、コメの品種改良に当たっては高温に強いことを基本とする。果樹についても2019年度をめどに高温に強い品種を開発するほか、強い日光に当たっても色落ちしない品種を導入することなどを盛り込んだ。

 もっとも温暖化で生じる悪影響は地域によって異なるため、地域レベルでの対策が欠かせない。農作物に関しては既に着手している産地も多いが、自治体による計画づくりの加速も求められる。

 もちろん温暖化対策では、適応策充実のほか、温室ガスの排出量を削減する「緩和策」の強化も重要だ。

 日本は30年までに13年比26%減らす目標を掲げている。COP21では20年以降の温暖化対策の新たな国際枠組みについて合意を目指すが、資金支援の在り方などをめぐる先進国と途上国の対立を克服できるかどうかが問われる。

 国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、昨年11月に発表した温暖化に関する報告書の中で、温室ガス削減の有効な方策として再生可能エネルギーや原子力、二酸化炭素(CO2)の回収・貯留(CCS)技術の普及などを列挙した。政府はCCSの普及によって、大気中に排出されるCO2を50年時点で年間2億㌧減らしたい考えだ。

緩和策の強化も必要だ

 政府は30年度の最適な電源構成(ベストミックス)として、原発の比率を20~22%、再生エネを22~24%とすることを決めている。原発再稼働の着実な推進などで、温暖化の緩和策を強めるべきだ。

(10月25日付社説)

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