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原発再稼働で温室ガス削減の目標高めよ

 温室効果ガス削減に向けた国際的取り組みを協議する国連気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)が、ポーランドの首都ワルシャワで開幕した。2015年に合意し20年にスタートする削減のための新たな国際的枠組みづくりに向けて、どこまで議論を進められるかが焦点だ。

海水温上昇で台風巨大化

 また、新たな枠組みと並んで20年までに各国が取り組む削減目標も議題となる。日本は、民主党政権時に掲げた「1990年比25%減」を正式に撤回し、「05年比3・8%減」とすることを表明する方針だ。

 温暖化対策は、待ったなしの状況にある。9月に国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が6年ぶりに発表した報告書は、21世紀末の世界平均気温が約100年前と比べて最大で4・8度上昇し、海面水位は最大82㌢高くなると予測している。

 この夏日本が経験した記録的豪雨や竜巻、世界各地で起きる熱波や旱魃などの異常気象は地球温暖化が根本原因とみられている。自然災害も今までの規模を遙かに超えるものになってきているのは、伊豆大島での土石流、そして先週フィリピン・レイテ島を襲った巨大台風を見ても明らかである。

 とりわけ巨大台風は中心気圧が一時895ヘクトパスカルを記録し、被災地は津波が襲ったのと変わらない惨状を呈している。台風の巨大化は海水温の上昇が原因とみられる。温暖化に歯止めがかからない場合、これに近い規模の台風が日本列島を直撃する可能性も否定できない。

 温室ガス削減の必要性を各国が認めるにもかかわらず、取り組みが迅速に進まない理由の一つは、途上国の側に、これまでの温室ガス増加の責任は主に先進諸国にあり、積極的に削減義務を負うことに後ろ向きな国が少なくないためだ。

 この意見には一理ある。しかし、それを駆け引きに使っていられるような状況でないことは、フィリピンを襲った台風を見ても分かるだろう。

 先進国も温室ガス削減の責任を果たすべきである。しかし、日本が「05年比3・8%減」を達成したとしても、90年比では約3%増となり、到底十分とは言えない。

 民主党政権時の「90年比25%減」は、原発建設を進め原発の全発電量に占める割合を42%と仮定してのものだった。現在、稼働する原発がゼロで今後、再稼働への見通しが不透明ということで、より現実的な数字を掲げたとみられる。

 そして不十分な削減量を途上国との排出枠交換などで補おうという考えのようだ。しかし、そのための財政支出は当然、国民の負担として跳ね返ってくることを忘れてはいけない。

事故を理由に後退するな

 3・8%減はあくまで最低の目標とし、原発の再稼働を進めることによって、その分の削減幅を上乗せし、このことを国際的にも表明すべきである。かつて「京都議定書」採択をリードするなど、温室ガス削減でイニシアチブを取ろうとした国が、原発事故を理由に後退することは許されない。

(11月13日付社説)

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