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中国の海洋進出、米は積極的関与を行動で示せ

 中国の南シナ海における大規模な岩礁埋め立てや軍事拠点化への懸念は深まるばかりだ。

 マレーシアの首都クアラルンプールで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)閣僚会議で、ケリー米国務長官は中国など領有権を争う紛争当事者に対し、緊張を高める「一方的行動」を中止するよう訴えた。米国は南シナ海情勢への積極的関与を行動で示すべきだ。

「三つの中止」を一蹴

 ARF閣僚会議など一連のAESAN関連外相会議では、中国の海洋進出をめぐり米中両国が攻防を展開した。米国はASEANの後押しを打ち出し、ケリー長官は「米国は南シナ海への関与を続ける」と強調した。

 しかし、王毅中国外相は「(南シナ海で)重大な衝突が発生する可能性は存在しない」とまで語り、結果として中国の攻勢が目立ったと言える。ARF閣僚会議の議長声明は、中国の埋め立てに関して「一部閣僚が表明した深刻な懸念に留意した」と指摘するにとどまった。

 ケリー長官は南シナ海の緊張緩和策として「岩礁埋め立て」「施設建設」「緊張を高める挑発的な行動」の「三つの中止」を提案した。

 これに対し、王外相は「停止の内容や基準は何か、各国で主張が違い、実行可能性に乏しい」と一蹴した。

 また、中国との領有権争いをオランダ・ハーグの仲裁裁判所に持ち込んだフィリピンに関して「中国のイメージを悪くするものだ」と反発し、直接交渉で解決すべきだと主張した。国際ルールを軽んじる中国の姿勢は許されるものではない。

 中国は南シナ海の埋め立て作業は完了したと宣言した。しかし、次の段階として海上救難や防災対策、航行安全などを目的とした施設を人工島上に建設すると主張したほか、「当然建設には必要な軍事・防衛上のニーズを満たすことも含まれる」と強調している。南沙(英語名スプラトリー)諸島のファイアリクロス(中国名・永暑)礁に続いて、スービ(渚碧)礁でも3000㍍級の新たな滑走路建設の準備を進めている可能性があるという。

 中国は東シナ海でも日中中間線付近で海洋プラットホームを増設し、一方的なガス田の開発を進めている。この施設はレーダー配備やヘリコプター展開の拠点として軍事利用される恐れもある。中国の南シナ海での動きが東シナ海に波及しないとする保証はない。

 カーター米国防長官は、米艦船や航空機を中国の人工島の12カイリ(約22㌔)内で展開する可能性を強調したことがある。中国の「領海」の主張に反対する姿勢を明らかにする意図がある。

一方的な動きを認めるな

 米国は2013年11月には、中国が沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定したことに対抗し、B52爆撃機2機を圏内に派遣した。

 南シナ海問題に関して懸念を表明するだけでは、米国は何もしてこないと中国に見透かされてしまう。米国は中国の一方的な動きを認めないとのシグナルを、実際の行動で示す時期に来ている。

(8月16日付社説)

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