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ソ連侵攻70年、一日も早い北方領土返還を

 70年前の1945年8月9日、ソ連は当時有効だった日ソ中立条約を破って日本に侵攻した。ソ連の攻撃は日本のポツダム宣言受諾後も止まらず、ソ連代表も出席し日本の降伏文書が調印された9月2日を過ぎても続けられた。このようにして、日本固有の領土である北方四島は不法占拠された。ロシアはこの歴史的過ちを認め、一日も早く北方四島を返還すべきだ。

シベリアで6万人死亡

 ソ連による犯罪行為は、これだけではない。約60万の旧日本軍人や民間人をシベリアに抑留し強制労働に従事させたのだ。酷寒と飢餓、想像を絶する劣悪な環境の中で、6万人以上の抑留者が命を落とした。われわれはこの歴史的事実を忘れることはできない。

 しかし、われわれは同時に新しい時代へと歩を進めている。戦後70年が過ぎ、日本においてもロシアにおいても、戦後に生まれた世代が社会の中心的な存在となった。日本とロシアは次の世代、そのさらに次の世代においても、隣国であり続ける。

 だからこそわれわれは、北方四島の一括返還を叫び続けているのだ。日露の間に刺さった棘(とげ)のような北方領土問題を、次世代に残すことなく解決し、友好関係を築きたいと願っている。

 だが、ロシアの行動は帝国主義の時代に戻ったかのようだ。ウクライナのクリミアを併合し、同国東部の親露派武装勢力を支援し軍事介入した。紛争は1年以上続き、数万人とされる死者を出した。今年2月に停戦合意が発効したが、完全に履行されているとは言い難い。

 ウクライナ問題を受け、国際社会はロシアに経済制裁を科した。至極当然な行動であるが、ロシアは自らが国際法に違反し他国の主権を蹂躙(じゅうりん)している事実を棚に上げ、制裁を行う国際社会を非難した。

 そしてロシアの暴挙は、経済制裁に加わる日本にも向けられた。北方領土を含む極東の土地を、国民に分与する法案をまとめたのだ。北方領土の支配をさらに強化しようという動きであり、年内にも実行されるという。

 閣僚の北方領土訪問も続いている。スクボルツォワ保健相が色丹島に行き、メドベージェフ首相が今月にも3度目の訪問を強行する見通しだ。

 ゴルバチョフ時代からエリツィン時代にかけ、ロシアはシベリア抑留の過ちを認め日本国民に謝罪した。北方領土問題についても1993年、東京宣言で北方四島の島名を列挙し「法と正義の原則」に基づき解決するとの明確な交渉指針を示した。

 しかしプーチン政権は、日本に対し高圧的な姿勢に転じた。プーチン大統領は「4島に対するロシアの主権は第2次世界大戦の結果」と強弁している。

日本国民の意識高めよ

 ロシアは不法占拠の正当化をやめ、東京宣言の「法と正義の原則」に立ち返り、北方四島を一括返還すべきだ。われわれはロシアおよび国際社会を相手に、4島返還の正当性を訴え続けなければならない。8月は北方領土返還運動全国強調月間でもある。政府の対露交渉を支えるためにも、北方領土に対する国民の意識を高めていくことが求められている。

(8月9日付社説)

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