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グルジアの政権交代で真の民主化を期待

 先月末行われたグルジア大統領選挙で野党連合「グルジアの夢(KO)」の候補ギオルギ・マルグベラシビリ前副首相・教育科学相が62・11%の得票率で圧勝した。これで、約10年間の「ヒステリーの時代」と揶揄されたサーカシビリ時代の幕が下りた。今回の政権交代によってグルジアに真の民主主義体制が根付くことを期待したい。

 大差ついた大統領選

 サーカシビリ大統領はグルジア憲法の規定により、自らの3選出馬ができず、大統領与党「統一国民運動(ENM)」のダビト・バクラゼ前議会議長を候補者に立てたが、21・73%にとどまって、第2回決選投票を待たずに敗北した。17日に大統領就任式が行われる。

 大統領の任期は今年1月20日に切れるはずだった。今年1月上旬に、約50の非政府組織(NGO)や政治団体などによって作成された文書が公表されたが、これには人口の4分の1以上の100万人を超える国民が署名した。この文書は、憲法に従った期日通りの大統領の退陣を要求したもので、意図的に任期を秋まで延ばした大統領の憲法違反と強引な政権居直りの姿勢を厳しく批判していた。

 グルジアでは、今年1月発効した改正憲法によって、大統領制から議会制になり、大統領の権限は著しく縮小されて、元首と軍最高司令官に限られ、法案や予算の提出の権限はない。議会で選ばれる首相の権限が強化されることになった。

 外交などを除き、大統領の権限を大幅に首相に移すというサーカシビリ大統領の狙いは、3期目の大統領職に就くことのできない同氏が、ロシアのプーチン氏の例にならって、自ら首相として権限を振るうことにあったとの見方が有力だ。

 しかし、昨年10月の議会選挙の結果、「KO」が150議席中85議席を獲得、「KO」を率いるビジナ・イワニシビリ氏が首相に選ばれたため、大統領の野望は砕かれてしまった。主にロシアとの取引で蓄財した個人資産50億ドルとも60億ドル(グルジアの国内総生産の約3分の1以上にあたる)ともいわれる大富豪イワニシビリ首相は、今回の大統領選後辞任すると公約している。誰が後継首相になるにしても、イワニシビリ氏の院政が続くと見られている。

 2008年8月のロシアとの「5日戦争」で敗北したグルジアは、南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独立を承認したロシアと国交を断絶した。5年後の現在も両国には正式な外交関係はない。

 マルグベラシビリ氏は「我々の方から攻撃することはない。グルジアはロシアに関して建設的である。ロシアとの間にある緊張を緩和するために努力する」と述べたが、「領土保全についてのグルジアの堅い態度は今後も変わらない」と南オセチアとアブハジアの問題では独立を認めない方針も強調した。

日本は地域安定に貢献を

 グルジアは欧州、アジア、ロシアを結ぶ要衝に位置し、カスピ海沿岸部の石油・ガスを欧州へ運ぶ戦略的回廊である。日本はグルジアが民主化を実現できるように支援し、地域の安定に貢献すべきだ。

(11月6日付社説)

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