ワシントン・タイムズ・ジャパン

理研は不正防止のため抜本改革を

 STAP(スタップ)細胞の論文問題を受け、理化学研究所が設置した外部有識者でつくる改革委員会(委員長・岸輝雄東京大名誉教授)は、小保方晴子研究ユニットリーダーが所属する発生・再生科学総合研究センター(CDB)の早急な解体と再構築を盛り込んだ提言書を野依良治理事長に提出した。

CDB解体にも言及

 提言書は問題の背景に「不正行為を誘発し、不正を抑止できないCDBの構造的欠陥があった」としている。極めて厳しい指摘だ。

 この提言に強制力はないが、理研は研究不正の再発防止のため、抜本改革に取り組む必要がある。

 提言書は、CDBが英語によるセミナーなど通常の手順を省略して小保方氏を採用したと認定。人工多能性幹細胞(iPS細胞)をしのぐ成果を得たいというCDB幹部の強い動機があったと推定し、竹市雅俊センター長らの責任を問うている。

 論文共著者の笹井芳樹副センター長については、秘密保持を優先し、外部からの批判や評価が遮断された閉鎖的状況をつくり出したとしている。小保方氏に研究者としてのトレーニングが不足していたことを認識していたにもかかわらず、論文作成の過程で生データの検証を全く行わなかったとも指摘。論文に疑義が指摘された後、発覚回避と疑われかねない行動を取ったとして「小保方氏と並び、厳しく責任が問われるべきだ」としたのは当然だろう。

 さらに、問題発覚後の理研本体の姿勢について「上層部が不正の原因解明に及び腰と疑わざるを得ない」と厳しく批判。改革委は5月下旬、新たな疑義が浮上したSTAP論文について調査の継続を求めたが、理研は「著者が論文を撤回する予定である」として行わない方針を示した。

 こうした対応では問題の幕引きを急いでいると見られても仕方がないだろう。不正が生じた原因を徹底究明せずに再発防止はできない。理研は消極的な姿勢を改めるべきだ。

 不正再発を防ぐための組織改革案として、提言書は外部の専門家による「調査・改革監視委員会」の設置や理事長直轄の「研究公正推進本部」の新設などを求めた。STAP問題で損なわれた信頼の回復に向け、理研は全力を挙げる必要がある。

 岸委員長は提出後の記者会見で、CDB解体に関して「今年中にやらないと遅い。再スタートするなら来年度からだ」と述べた。しかし、CDBはiPS細胞の応用研究をはじめ、生命の誕生や成長、生体内の様々な働きのメカニズムなどについて優れた研究を行ってきた組織でもある。

 現在はiPS細胞を使った世界初の臨床研究が進行している。年内にも目の難病患者にiPS細胞から作った網膜細胞を移植する。

日本の研究レベル向上を

 CDBを解体し新組織を設けるのであれば、患者に不安を与えないようにすべきだろう。また幹部を交代するだけでなく、これまでの成果を生かし、日本の研究レベルを向上させるようなものとすべきだ。

(6月17日付社説)

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