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橋本新会長、五輪開催へ強い指導力を期待

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の新会長に橋本聖子氏が選出された。新型コロナウイルスの感染拡大で五輪中止を求める声も上がっている。橋本氏には、開催実現に向けた強い指導力を期待したい。

 「今の社会の空気変える」

 コロナ禍の中、五輪を開催できるか予断を許さない状況が続いている。さらに、森喜朗前会長の女性蔑視と受け取れる発言が逆風を強めた。橋本氏は就任会見で「今の社会の空気を変えていくことが私のミッション」と明言した。

 女性の橋本氏が新会長に選ばれたのは、森氏の発言を受け、男女平等を強調する狙いもあろう。ただ現在の困難な状況を克服する上で「五輪の申し子」と言われる橋本氏の就任は、まさにうってつけである。

 橋本氏が生まれたのは、前回東京五輪が開幕する5日前の1964年10月5日。聖火を見て感動した父が「聖子」と名付けたという。スピードスケートと自転車で84年サラエボから96年アトランタまで7回の夏冬五輪に出場。92年アルベールビルでは銅メダルを獲得し、日本人女子として冬季五輪初のメダリストとなるなど活躍した。

 その後政界入りし、2019年からは五輪担当相として開催実現に向けて尽力してきた。閣僚は公益法人の役職員との兼職が禁止されているため、橋本氏は会長就任に先立って五輪相を辞任。後任には丸川珠代元五輪相が起用された。

 橋本氏には、政府や東京都、国際オリンピック委員会(IOC)などとの緊密な連携が求められる。橋本氏、丸川氏、そして小池百合子都知事ら女性の活躍に期待したい。

 五輪開催まで残り5カ月となった。国民の理解を得るには、安心、安全な大会の実現に向けてコロナ対策を徹底することが欠かせない。

 対策では、観客数の上限や外国人観客の有無などがまだ定まっていない。206の国・地域から1万人超が参加する選手の検査や濃厚接触者の扱いなども詳細が決まるのはこれからだ。調整を急ぐ必要がある。

 コロナをめぐっては、10都府県に緊急事態宣言が発令される中、新規感染者数は減少傾向にある。ワクチン接種開始も明るいニュースだ。これらを五輪開催の機運向上につなげたい。

 菅義偉首相は「人類がコロナに打ち勝った証し」として五輪を開催する決意を繰り返し表明している。だが、こうしたメッセージが国民に十分に届いているとは言えない。橋本氏には、五輪開催への取り組みが国を挙げての大きなチャレンジであることを強く発信してほしい。

 「復興五輪」の理念も前面に打ち出すべきだ。東日本大震災から来月11日で10年を迎える。来月25日には、被災地の福島県で聖火リレーが始まる。「復興の証し」も国内外に広く伝えていきたい。

 信念貫き大会実現を

 橋本氏は講演で「目の前に困難な道と平易な道があれば、困難な道を選ぶのが自分の生き方」と述べている。

 組織委会長として、こうした信念を最後まで貫き、五輪開催を実現する必要がある。

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