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「世界10大リスク」 日本は対処へ指導力発揮を

 世界最大の政治リスクコンサルタント会社である米国のユーラシア・グループが、2021年の「世界10大リスク」を発表した。

 首位にバイデン氏挙げる

 世界10大リスクは、リーダーなき世界を「Gゼロ時代」と名付けて注目された国際政治学者イアン・ブレマー社長の下、同社が年の初めに世界政治や経済に大きな影響を及ぼす事象を予測するものだ。

 首位から10位までは順番に①米国第46代大統領②長引く新型コロナウイルスの影響③気候変動対策をめぐる競争④米中の緊張拡大⑤世界的なデータの規制強化⑥サイバー紛争の本格化⑦トルコ⑧原油安の打撃を受ける中東⑨メルケル独首相退任後の欧州⑩中南米の失望――となっている。

 注目すべきは、首位にバイデン次期米大統領を意味する「第46代大統領」を挙げたことだ。米国民のほぼ半数が、バイデン氏が正当に大統領に選ばれたとは思っていない状況だという。「ジミー・カーター氏以降で国民の信託が最も弱い大統領として就任する。24年の大統領選に出るとみる人はほとんどいない」としている。

 大統領選で改めて浮き彫りとなった米国社会の深刻な分断を警告するものだ。富裕層への課税強化や健康保険制度の拡充など内政面の公約実現は難しく、国際協調重視の外交面でもバイデン氏自身が期待するほどのリーダーシップを発揮できないと指摘している。

 2位については「各国がワクチン接種のスケジュール達成に苦しみ、パンデミックが高水準の公的債務や離職者、信頼の喪失という負の遺産を残す」と予想した。ワクチン供給開始後も続くであろう政治、経済への打撃が懸念される。

 4位に関しては、バイデン次期政権発足後も「昨年のような激しい対立」を予想。貿易や人権などの従来の問題に加え、気候変動やワクチンをめぐる主導権争いで「対立は複雑化し、緊張が高まる」としている。

 日本としては、米国が民主主義国家をまとめ、国際秩序や規範を守るためリーダーシップを発揮できるか注意深く見極める必要がある。ただ世界10大リスクが指摘するように、バイデン氏の指導力には疑問符が付く。

 日本には日米同盟を外交の基軸としつつ、「自由で開かれたインド太平洋」構想を主導し、自由、基本的人権の尊重、法の支配などの普遍的価値を共有する国々との連携を強めていくことが求められよう。

 国際社会は、世界で最も健全で先進的な産業国の一つである日本のリーダーシップを大いに必要としている。日本としてはこの点を意識してリスク対処に貢献しなければならない。

 情報リスクも対応急げ

 6位には情報をめぐるリスクを挙げた。テレワークなどオンライン活動が急速に拡大し、次世代通信規格「5G」も普及する中、サイバー攻撃がこれまでにないリスクを生む年になると警告している。

 サイバースペースにおける国際ルールの作成など、このようなリスクへの対応も急がなければならない。

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