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尖閣諸島 実効支配強化し守り抜け

 海洋進出を強める中国は、不当に領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島周辺での動きを活発化させている。日本は実効支配を強化し、何としても尖閣を守り抜かなければならない。

 領海内で日本漁船追尾

 中国海警船が昨年、尖閣沖の接続水域に侵入した日数は333日に上り、過去最多だった2019年の282日を大きく上回った。領海侵入も24回に達し、操業中の日本漁船に接近・追尾する事例が19年の1件から8件に増えた。

 南シナ海では昨年4月、中国海警船が西沙(英語名パラセル)諸島付近でベトナム漁船に追突し沈没させる事案が生じた。中国の攻勢が強まれば、尖閣沖でも同じことが起きかねない。警戒を強化する必要がある。

 昨年11月に来日した中国の王毅国務委員兼外相は、茂木敏充外相との会談後の共同記者発表で、尖閣について「一部の真相が分かっていない日本漁船が釣魚島(魚釣島の中国名)周辺の敏感な水域に入る事態が発生しており、中国側としてはやむを得ず、非常的な反応をしなければならない」と主張。「引き続き自国の主権を守っていく」と強調した。

 日本としては到底受け入れられない見解である。尖閣が日本固有の領土であることははっきりしている。中国が領有権を主張するようになったのは、尖閣周辺に石油が埋蔵されている可能性が指摘された後の1970年代からだ。こうした経緯を無視して「自国の主権を守る」などと領海侵入を正当化することは断じて容認できない。

 中国が尖閣周辺での動きを強めていることについて、本紙のインタビューを受けた元米太平洋艦隊情報部長のジェームズ・ファネル氏は、2030年までの10年間を「懸念の10年」と呼んだ。中国による尖閣占拠への警戒を訴えて「中国の戦略を妨げる対応策を考える必要がある」と指摘している。

 日本は尖閣の実効支配を強化すべきだ。ファネル氏は尖閣に科学者や気象観測所が存在すれば「中国にとって尖閣諸島を奪取することははるかに難しくなる。日本と全面的な戦争を行うリスクについて再検討する必要が生じるからだ」との見方を示している。

 尖閣周辺での日米共同演習を定例化させることも、中国への牽制(けんせい)効果が大きい。米国のバイデン前副大統領は昨年11月の菅義偉首相との電話会談で、尖閣が対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象になると明言した。

 ただバイデン氏は、中国による南シナ海の軍事拠点化を許したオバマ前米政権で副大統領を務めていた人物だ。バイデン新政権が誕生した場合、尖閣問題を含め中国に対して強い姿勢を貫けるか懸念が残る。

 何もしなければ危機招く

 いずれにせよ、中国に尖閣を奪われる恐れが強まっている。日本が中国を刺激することを恐れ、何の手も打たずにいれば、自ら危機を招くことになりかねない。日本は尖閣の実効支配を強化するとともに、中国の習近平国家主席の国賓来日中止を正式表明するなど、対抗措置を取る必要がある。

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