ワシントン・タイムズ・ジャパン

ミャンマー 日米は民主化を強く促せ

 上下両院(定数計664)の議席を争ったミャンマーの総選挙で、アウン・サン・スー・チー国家顧問の与党・国民民主連盟(NLD)が、改選476議席のうち396議席を獲得する地滑り的勝利を果たした。

 スー・チー政権2期目へ

 総選挙は軍人枠166議席と治安上の理由で投票を見送った22議席を除いて行われ、最大野党で国軍系の連邦団結発展党(USDP)は33議席にとどまった。スー・チー政権は2期目に入った。

 ただNLDの圧勝は、スー・チー氏の人気頼みというのが実情だ。NLDは前回総選挙で、上下両院の定数の25%を軍人枠とすることなどを定めた憲法の改正や少数民族和平を公約に掲げ、改選議席の8割を獲得したが、いずれの公約も実現できなかった。

 このため、今回の総選挙では苦戦が予想されていた。だが、半世紀以上続いた軍事政権時代の強権統治に対する有権者の拒否感は強い。このことが、選挙結果に表れたとみていい。

 改憲には上下両院議員の4分の3超の賛成が必要で、4分の1を占める軍人議員の協力が欠かせない。総選挙で民主化を求める民意が示されたことを国軍は重く受け止めるべきだ。スー・チー氏は国軍の政治関与を弱めるため、改憲に向け全力を挙げる必要がある。

 ミャンマーは軍政時代、中国と緊密な関係を築いた。中国の習近平国家主席は1月、ミャンマーを訪問してスー・チー氏と会談し、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて経済協力を推進する方針を確認。習氏の訪問に合わせ、両国は「中国・ミャンマー経済回廊」の建設に関する覚書やミャンマー西部チャウピューの港湾開発をめぐる協定など33文書を交わした。

 インド洋に面したミャンマーは中国にとって「一帯一路」の要衝だ。習氏訪問には、ミャンマーへの経済的関与を深めて影響力を拡大する狙いがあろう。

 インド洋で海洋権益拡大を図る中国は「世界最大の民主主義国」と呼ばれるインドを包囲する「真珠の首飾り」戦略を進めている。既に、パキスタンのグワダル港やスリランカのハンバントタ港が中国の拠点となっている。

 ミャンマーで改革が進まなければ、中国の影響力がさらに強まることが懸念される。「自由で開かれたインド太平洋」構想を推進する日米をはじめとする民主主義国家は、ミャンマーに民主化を強く促していかなければならない。

 西部ラカイン州のイスラム系少数民族ロヒンギャの迫害問題も大きな懸案となっている。ラカイン州では2017年8月の治安部隊とロヒンギャ武装集団の衝突以降、掃討作戦が強化され、74万人が隣国バングラデシュに逃れた。

 宗教対立を克服せよ

 この問題でスー・チー政権は国際社会から厳しい批判を浴びている。一方、中国は一貫してミャンマーの立場に理解を示している。スー・チー氏は中国の甘言に釣られてはならない。人口の9割を占める仏教徒とロヒンギャとの和解を実現し、宗教対立を克服すべきだ。

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